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オレラグ

くじけない 諦めない 郷土愛【戦評】第19節 ブラウブリッツ秋田戦

2021年6月23日

こんにちは。

まずは何より三戸ちゃんが心配だったわけですが、試合後のアルベルさんによると『いまは安定しており問題ない』ということなので、ひとまず安心しました。引き続き丁寧に経過観察していただいて万全を確認してほしいなと思います。

そして、そんな三戸ちゃんの貢献もありながらチームは見事に勝利を収めました。
何というか、琉球戦とはまた違った嬉しさや格別感があります。哲学の全く異なる相手に対して自分達はどういうチームかというのを力強く示して勝ち切ってくれたというのは誇らしい限りです。

スタメン

ではスタメンから。
まずうちの方ですが、舞行龍が出場停止のため7試合ぶりに史哉がスタメンというのは既定路線で予想できたものではありました。ただ、至恩を出場停止だった3節の山口戦を除いて今季初めてベンチスタートにし、左には6試合ぶりスタメンの星、さらに右も3試合ぶりのスタメンとなる三戸ちゃんを起用してきました。結果的にこの采配がバチッとハマったわけですから、アルベルさんあっぱれであります。

そしてこちらも忘れてはいけません。8節以来となるロメロが帰ってきました。合流して間もない中で早速のベンチ入りは本人すら驚いていたようですが、それくらい大事な存在であるということをこの試合も少ない時間でありながら感じさせてくれました。

対する秋田の方は前節からスタメン、ベンチ共に全く同じメンバーで臨んできました。

立ち位置で殴り勝つ

前半終了時点でのポゼッションが24vs76ということで、予想されていた通り前半から圧倒的に新潟がボールを持つ展開となったわけですが、それも決してボールを持っているだけになっておらず、前半終了時点でシュートも12本打つことができていた中でのポゼッション76%というのが非常に大事であり、よかったところかなと思います。

そんないいポゼッションでありビルドアップが数多く見られた中から1つ、前半7分のシーンを拾ってみました。
左から一旦小島に戻してやり直すところから、史哉→奏哉→史哉→千葉→星→ヤンと繋いで相手のファーストディフェンスラインを越えて相手陣内に運び出した場面です。

まず小島にボールが渡った際に史哉のところへ左SHの茂がスプリントして来ていました。しかし、立ち上がりに1度小島からゴメスへ1つ飛ばしたパスが出ていたことも記憶に残っていたであろう茂は、結局一旦踏みとどまって退却することを選択しました。こうしてまずここで1つ位置的な優位が作れていました。

続いて史哉が小島からボールを持って持ち出す場面。
まず縦関係になっているうちのボランチに対して、後ろの島田にはFWの一角である中村、少し前にいるヤンに対してはボランチの1人である稲葉が見ています。また外に張った三戸には先程寄せるのを止めて下がった茂が見ていました。
そして内側に立つ奏哉にはもう一方のボランチである輪笠が見に行くのですが、史哉から奏哉へボールが出た時にちらっと左側を見てから出て行きました。画面には映っていませんでしたが、恐らくこの瞬間そこには善朗がいたのでしょう。そのため輪笠はまず善朗へ入れさせないように気を配る必要があり、奏哉への寄せもボールが出てからとなって前を向かれてから対応せざるを得なくなっていました。

試合中解説の田村さんも奏哉が内側に立つことで『秋田の選手は誰がどのタイミングで行けばいいか迷いが生じている』ということを仰っていましたが、このシーンも秋田の選手からするとそんな難しい判断を迫られた一例だったかと思います。
局面で言えば奏哉と善朗で輪笠に対して優位を作れていたということになるでしょう。

さらにここから一旦戻してやり直すわけですが、ボールを受けた千葉からライン間の星に浮球のピンポイントパスが入り、それをダイレクトで落としてヤンがフリーで尚且つ前を向いた状態を作る形が出来ました。
この千葉から星へパスが入るタイミングで、まずそれ以前からヤンを見ていた稲葉に対して星が下りることで優位を作れています。例えばこの時仮に星へのパスを消すため右SHの沖野がグッと絞っていたら、恐らく大外のゴメスへ展開できたでしょう。

また、先程中間のスペースにいた善朗が中央へ移動するのに伴い、輪笠もそちらへ動き、それに伴い茂もスライドして絞っていたので、千葉がもう1度右への展開を選択して外に開いた三戸へ送れば、瞬間的に茂に対して奏哉と三戸で優位を作ることもできたでしょうし、もしくは三戸がドリブルで運ぶ形も作りやすくなっていたかなという想像は決して非現実的なものではないかなと思います。

いわゆるピッチを縦に何分割かして考える時に使われるレーンということで言えば、各レーンに選手が立ちつつ、またヤンの位置取りのように段差もつけることができています。さらにダイレクトなんかも交えることで完全に相手に後手を踏ませることができていました。

ちなみにさらっと“千葉から星にパスが入り”と書いてしまいましたが、このシーンのようなパス、解説の田村さんの言葉を借りれば『3Dのパス』をこの日もいくつか通しており、またそれ以外にもさすがの縦パスが何本もありました。個人的にはこの日のチバメーターも最低5ポイントは入ったんじゃないかなという感覚です。

役割は明確、でも的は絞らせない

結果的にバチッとハマった星と三戸のスタメン起用ですが、この意図についてアルベルさんは『より幅を取った攻撃』ということを狙ったそうで、その2人が前線にいることによって『奏哉とゴメスがより中でプレーする機会』もあったということだったようです。
外に張ったSHがドリブルによって相手を押し下げる役割やチャンスメークを担い、内側に入ったSBが先程も紹介したような感じで相手の迷いを生み出し、ある意味攻撃の起点となるようなプレーを見せてくれました。

その中でも特に奏哉が今節は(今節も)さすがの賢さと確かな技術によって出色のプレーを披露していました。内側に入ってコンダクター的なプレーもさることながら、機を見て裏に抜け出してゴール前に迫るシーンも何度かありました。
元々ボランチの選手ですから彼にとっては何も不慣れなことや特別なことをやっているつもりもないのでしょうけど、NegiccoのKaedeさんが『藤原選手があちこちにいる』とツイートされていたのはまさに仰る通りといった感じで、本当にこの日は(この日も)存在感抜群でした。

またチームとしても、この奏哉が裏に抜けた動きのように、圧倒的にポゼッションする中でもシンプルに裏を狙うシーンもあれば、それこそ三戸ちゃんがドリブルによって守備網を突破するシーンもあるなど、試合前に敵将の吉田さんがうちについて仰ってくれていたような『多彩な攻撃』を披露してくれていたように感じます。
それができていたからこそ、ボールをただ持つだけではなくしっかりフィニッシュのシーンを作り出すところまで繋げられていたのかなと思います。

やりきることとスローインへの意識

守備についても少し。
というか多彩な攻撃が見せられたというのと同じかそれ以上に、守備面を90分間タフにやり切れたことがこの試合においては重要だったと言っても過言ではないような気がします。

86分あたりだったでしょうか。
カイトが裏に抜け出すも相手DFのカバーによって失った後、矢村が素早くボールホルダーにプレスを掛けて時間を掛けさせミスパスを誘発します。しかもこのズレてしまったパスを受けようとしていた選手にも島田がしっかりスプリントして狙っていました。
さらにその後、また失ってしまい縦パスを入れられるのですが、史哉が素晴らしい出足で前に出てカットしてみせました。

体力的にもきつくなってオープンになるため、余計1人1人のアプローチする距離が長くなってくる時間帯にも関わらず、素早い切り替えによって最初の出所を抑え、その後もきっちり連動して受け手も抑えることができていました。

あと56分あたりだったでしょうか。
相手のセットプレーをクリアした流れで引き続き相手のスローインとなった場面があったのですが、その時の集中力とインプレーになってからの各選手のボールへの執着心は、スローイン対応が課題であるということを全員が意識して守れているのがよく感じられた場面でした。
セットプレーの後ということで、少し安心して一息つきたくなる場面ではあったと思いますし、相手がロングスローと見せかけて短く入れてくるという少し変化を付けてきた難しさもあった中で、それでも集中力を切らさず連続して寄せて最終的には体を張ってファールをもらってマイボールにできていました。
これもこの試合において触れずにはいられないと思ったシーンだったのでここにしっかり書いておきます。

ついでにもう1つ。
試合後に史哉が体を張ることができていたという部分について、相手もそれを大事にしている中で『そこで負けずに上回ることができたからこそ、今回の試合で勝ち点3を取れた』ということを話していましたが、まさにその通りと共感できたのと同時に、そんな史哉自身の働きぶりも目を見張るものがありました。

一体何度空中戦で競り勝っていたでしょうか。ほぼ全勝だったような気すらします。クロスボールに対して素晴らしいカバーでブロックしたシーンもありましたが、久々にスタメンの出番が回って来た選手がこれだけの活躍をしてくれるというのは本当に頼もしい限りです。

最後に

少し停滞感が漂いかけていた中、加えてここだけ月曜開催ということで勝っている上位に置いて行かれたくないというプレッシャーのかかる状況で秋田という難しい相手に勝ち切れたというのはとっても大きな勝ち点3だと思います。

もちろん、後半相手が戦い方を整理してプレスを少し高めから掛けて来て、強度もより上げてきたのに対して、少しビルドアップでいなし切れないシーンが増えたり、やや押し込まれたりするケースが増えたというのは今後さらに改善していかないといけないポイントでしょう。また、繋ぎをそれほど得意としていない相手だったということもあって、しっかりプレスを掛けられればほとんどのシーンでマイボールにできたということも意地悪な見方をすればできるかなとは思います。

ただ、それでもとにかく勝ち点3をしっかりもぎ取ったということはそれに勝ることはないですし、冒頭に書いたことの繰り返しになりますがこういう相手に対してしっかり自分達のやりたいことを表現しつつ勝ったというのも非常に大きな宝物です。

改めて、また1つ1つ力強く前に進みましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。