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オレラグ

大切にしたい3つの袋ならぬ3つのゴール【戦評】第22節 栃木SC戦

2021年7月13日

こんにちは。

素敵でしたね、新婚さん。
知り合いのサポーターさんや同級生といった思いがけず近い人の華やかな姿を拝見でき、またたくさんの方と一緒にそんな新婚さんをお祝いでき、なんだかとっても幸せな気持ちになりました。

これまで結婚式の2次会なるものに何度か参加させてもらう機会はありましたが、今回のこのイベントも含めて、なんだか友人・知人の晴れ姿、素敵な時間を共有させてもらうだけでこんなにハッピーな気持ちになれるのであれば、自分の事ではないから苦労も感じることがないので、もうずっと誰かの幸せをお祝いするだけでいいような気がしてきています。

まあそんな自分のことはいいとして、とにかく今回出られた3組の皆さん改めておめでとうございます。末永くお幸せに。

そして、そんな素敵な門出に3-0という完勝で花を添えてくれた我がクラブ。さすが、やっぱりアルビレックスはできるチームです。

スタメン

では振り返ります。

まずうちのスタメンですが、前節から4人変更がありました。
最前線のカイトと右SHのロメロがどちらも2試合ぶりのスタメン。また左SHには4試合ぶりの星。そして前節長期離脱から帰って来た福田が今節早速スタメンに名を連ねました。

対する栃木の方は、前節5試合ぶりにベンチスタートだった貴章が満を持してスタメンに復帰し、他は前節町田戦から全く同じメンバーで臨んできました。
ちなみに水曜日にあった天皇杯の鹿島戦からはスタメン9人が替わっており、この日のスタメンの中で連戦だったのは柳と吉田のみだったので、それほど疲労の影響はなかったのかなと思います。

困りごとはロメロへ

ハイプレスの栃木を注文通りに攻略した会心のゲームだったと言えるでしょう。
ゴールシーンに狙いが現れていたのでとりえあえず3点振り返りましょう。

まず1点目ですが、自陣で面矢からボールを奪ったロメロが自らゴリゴリっと持ち運び、右に流れたカイトからのクロスに善朗フィニッシュというもの。
まずは何と言ってもロメロの強さが光りました。その他のシーンでも、ちょっと出し所を見出せずテンポが悪くなりかけてもロメロに預けることでしっかり時間を作って全体の押し上げを促してくれたり、自ら前を向いて運び出したりするプレーを見せていました。“困った時のロメロ”といった感じでしょうか。

続いてロメロがボールを奪った相手がSBの面矢だったということで、ロメロが奪って運び出したところでカイトはすかさず面矢が留守にしたスペースへ流れてボールを引き出しました。
最初ボランチの佐藤もカバーに入っていましたが、ロメロが完全に面矢を振り切って持ち出してくれたことで中央を消さざるを得なくなり、カイトは完全にフリーな状態となりました。

そしてクロスの場面です。
ロメロからカイトに出た瞬間、CBの柳がちらっと大外の善朗を確認して、そこからボールと入ってくる相手をできるだけ同一視野で捉えられるように体の向きを入れ替えていました。
ここまではいい対応が出来ていたと思いますが、もしかすると柳としてはGKとDFの間に速いクロスが来る予想が頭の中にあったかのかもしれません。そのためカイトがキックモーションに入った瞬間クッと走るコースを替えて手前に入って来た善朗に対応できず完全にフリーの状態となった、という流れなのかなと思います。

そしてこのクロスに対して平行かもしくはマイナスという入り方は、2点目からも分かるようにまさにこの日狙いとしていた通りのプレーだったのだろうと思います。

GKは攻撃の起点

2点目はさらに見事な物でした。
小島からのフィードを星がスッと中央に入って胸で落とし福田へ。一旦DFに引っかけられながらもルーズボールをカイトが繋いで左の星へ。フリーで少し運び出してからマイナスのボールにまたもやフリーの善朗フィニッシュというものでした。

まずフィニッシュのシーンですが、星が抜け出したところでロメロがニアに走り込んで相手を引き付けたことで手前においしいスペースが生まれました。そしてクロスからシュートはまさに1点目と同じような形ということで、確かな再現性によって生み出されたゴールだったと言えるでしょう。

そしてここで巻き戻して触れておきたいことの1つが小島のフィードです。
航斗がしっかり結果を残していた分、復帰してからの小島には正直もっとできる、やってほしいみたいなところはありましたし、恐らくそう感じていたのは自分だけではないのかなという気がします。
ただこの日もこの5分くらい前に中央へのフィードを入れたところで、アルベルさんに何か注文を付けられているシーンがありました。

そんな中で見せつけてくれたのがこのゴールの起点となる正確なフィードです。何が最高だったかってゴールが決まった瞬間に千葉と舞行龍がすぐに小島の方を振り返って両手を挙げてサムアップする姿でした。

GKというのは難しいポジションです。あんまりコロコロ替えるものでもないでしょうし、とはいえ期待しているからといって1人をずっと使い続けるのも出ていない選手からしたら納得し難い部分が生まれかねません。そしてそれはうちみたいにレベルの高い選手が揃っていればいるほど難しい判断になります。
改めて思ったことですが、これからも4人で切磋琢磨してチームをさらに盛り立ててほしいなと思いました。

教科書通りといっても過言じゃない

2点目のシーンから触れておきたいことのもう1つが中盤での優位です。

小島からのフィードを星が受けて福田へ渡したわけですが、ここでは瞬間的に相手のボランチである松本に対して数的優位が作れていました。
そしてこのような中盤での数的優位や先手を取るための位置取りによる優位を、前からプレスに来る栃木に対して随所に表現できていました。

例えば相手のSHがうちのCBまでプレスへ来る際に、うちのSBが高い位置に出て行きつつ入れ替わるようにSHが下りることで相手のSBを引き出します。そして下りたSHから内側のボランチへ送り、ボランチから1タッチや2タッチで前に出たSBへ渡る形がありました。
また、SBが少し残り気味でビルドアップをサポートするのに対して相手のSHがプレスを掛けてくる場合も、やはりSHが下りて相手のSBを引っ張り出し、フォローに入ったボランチへ渡すと、そこからSBの裏にFWが抜け出したり、もしくはSHとボランチの間のスペースにSBが出てきて抜け出したりする形なんかもありました。

そういった連携がいくつも見られる中で、最初は外に張って相手を広げておきつつ相手のSBを引っ張り出すSH(特に星)の役割も際立っていましたが、やっぱり福田や善朗という中央の選手の存在感は絶大でした。
基本ベースは4-2-3-1でありながらも、ビルドアップになるとヤンがアンカー的で福田と善朗がインサイドハーフ的な4-3-3のように可変していたわけですが、この善朗と福田が高い位置で立ってくれることによって、相手のボランチに前へ出たりSB裏のスペースにカバーへ行きづらくさせたりする効果をもたらしていました。

そういうポジションを取ることで、それこそ2点目のようにタイミングよくスッと絞ったり下りたりした星が相手ボランチの脇や手前で受けやすくなっていたり、田坂さんが試合後守備の嵌め方について『前半は勢いで行ってしまった』と仰っていましたが、前線がいつものようにプレスに行ってもボランチを始め中盤より後ろが付いて来ておらず、前4人と後ろ6人が分断してしまう局面を新潟からすると生み出せていたのではないかなと思います。

キャノン導くトランジション

3点目は相手のクリアをゴメスが拾ったところからです。
ドリブルでスルスルと持ちあがって縦パスを供給すると、ロメロが相手を背負いながらフリックで繋ぎ、カイトが抜け出してニア上ズバンのファインゴールでした。

あのシュートについてはもうさすがとしか言いようがありません。梅山さんも『ワールドクラス』と絶賛されていましたが、あのコースにあのスピードでしかも利き足ではない左足で打ちぬくんですから、いやはや、アメージングです。
ちなみにツイッターではトラップが少し流れたからファーではなくニア上にしたということを解説していましたが、ゴメスから縦パスが入る時にロメロと重なるか重ならないかくらいの位置にあえて留まって、ギリギリまで我慢しつつスペースと角度を確保して、ロメロへ入った瞬間に反転したあの動き出しはお見事でした。正直最初からニア上狙いだと思っていたので、その一瞬の判断力たるや、もう1回言います、アメージングです。

そしてこのシーンは失った後に素早く回収してそのまま縦に出ていく攻守の切り替えが光ったシーンでもありましたが、特に守備への切り替え(ホルダーへの寄せ、セカンドボールへの反応など)が90分を通じてよく意識されていたのはこの試合の重要なポイントだったように思います。

あと後半に関して、田坂さんが『我々のペースでしたけど』と仰っていたのは正直それほどだったかなという気もしなくはないですが、ただ相手が修正してきて前半ほど思うように運べないシーンが増えていたのは事実としてあった中で、それでもしっかり追加点を取り切れたというのは非常にポジティブだし自信になり得る部分だったのかなと感じました。

最後に

前半からビルドアップ時は中盤が逆三角形になる4-3-3みたいな形になっていましたが、後半島田が投入されてからは守備時も4-3-3(4-5-1)みたいな形を取っていました。

より相手のボランチに対して出て行きやすくする意味だったり、中央を厚くしてセカンドボールを拾いやすくする意味だったりがあったのかなと推測しますが、同じ形でも時間や点差、状況が変われば意味合いも変わってくる中で、どの時間帯も上手に運用できていたのはナイスゲームコントロールだったのではないでしょうか。
あとは後半のように相手が少し整理して強度も上げてきた中で、それでももっと剥がすシーンを増やしたり、使えそうだけど活用し切れていないスペースがまだあったりするシーンも何回かあったように見えたので、この辺の質をさらに上げる、極めていくことができればいいのかなという感じです。

はい、たぶんもう書きたいことはほぼ書いたはずなので終わり。

それにしてもほんとに楽しかったです。ビューティフルサンデーでした。
このいい空気感のまま中断期間を迎えられたらと願うばかりです。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。