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オレラグ

暑くても厚くして熱くなる【戦評】第23節 京都サンガF.C.戦

2021年7月19日

こんにちは。

いよいよ暑くなってきました。
そんな中で京都という土地に乗り込んでの試合。
公式記録は26.8度ですから酷暑ではないのかもしれませんが、決して涼しいとも言えませんし、体感的には梅雨が明けたばかりで暑さに体が慣れ始めたかどうかという時期ですから楽ではないのは確かだったかと思います。

その中であのハイインテンシティな内容の試合です。
終盤なんて、なんでこれだけ走ってんのにそんな正確に強いパス出せるんだろうとか、どうしてあれだけバチバチやってたのにそんなピタッとトラップでできるんだろうとか、もう感嘆しっぱなしでした。
そして最後まで球際を強く寄せたり味方を追い越したりし続ける姿になんだかもう堪らない気持ちになりました。テレビ観戦ですらそうなんですからスタジアムで見てたら大変だったでしょう。ルールとしてダメだと分かっていても声を出すのを我慢するなんてあまりに酷です。まあこれは前も書いたかもしれませんが声を出さずにサッカーを見るなんてそもそも無理な話なわけですが。

改めてナイスファイト。
心から我が選手、我がクラブを誇りに思えるようなそんな心持ちでした。

スタメン

それではいつも通りメンバーからおさらいです。

まずうちの方ですが、前節から全く同じスタート11人とベンチ7人のメンバー編成でした。現時点で最もチームの最大値を出せるメンバーと見ていいのかもしれません。

対する京都の方は前節から3人の変更がありました。
まず今季全試合出場中であり、前節は今季2度目のベンチスタートだった川﨑がやっぱりスタメン復帰。そして前節荒木と中川というどちらもスタメンは5試合ぶりという選手を起用していた両ワイドには、松田と宮吉といういつもの2人が川﨑同様スタメン復帰となりました。
ただの推測ですが、中断前最後というタイミングで当たる3位新潟との上位対決に満を持して整えてきたようにも感じるメンバー選考にも思えました。

効果的な修正

前からのプレスによって押し込み先制に成功した京都の前半。対して選手交代と立ち位置の変更によって盛り返して追いついた新潟の後半。お互いがしっかり特長やスタイルを表現して、それがバチッとぶつかりあうことでこの日の90分はできあがっていたわけですが、アルベルさんも話していたその立ち位置の変更という部分で、分かりやすく感じられたシーンをここでは拾ってみました。

まず前半39分。

ボールが舞行龍に戻ったところで京都はインサイドハーフの武田が出てきます。この時点で京都は3トップ+福岡を含めた前線の5人が新潟の4バック+ヤンまで嵌めにきていました。
そこで舞行龍は小島に戻そうとするフリを見せつつウタカが狙っているのもあったのでうまくターンをして前を向き縦パスを入れます。
これをアンカーの川﨑の脇で福田が受けるのですが、そこから裏を狙ったパスは引っかかってしまいました。

このように前から来る京都に対して、3トップ+インサイドハーフ2人という1つめのプレスラインを1つの縦パスによって引っくり返す形は前半からもいくつかあったり、もしくは狙えたりできてはいました。
しかしこのシーンのように縦パスを受けたところで味方のフォローが間に合っていなかったり、または距離が遠くてフォローに行けない状況が多くあったため前半は前進することが難しくなっていたかと思います。

続いて後半ですが、まずは後半のメンバーを先におさらいということで以下の図のようになりました。

そして拾ってみたシーンが57分。

ここでも舞行龍がボールを持ったところで、内側に立った奏哉から連続して舞行龍まで武田が出てこようとしていましたが、その脇に下りた島田がパスをもらって相手が来ないのを確認した上で前を向きます。
そこから島田は下りてきた星に出すような体の向きから正面の福田へ鋭い縦パスを供給し、善朗からカイトへという仕掛けのフェーズまで展開できました。

島田が前を向いたタイミングが分かりやすいですが、京都の両ワイド+川﨑+福岡の4人の中盤ラインと4バックのラインの間に、後半からトップ下へ移った福田と右SHへ移った善朗、そして左SHの星という3人が入りこんでいました。
このシーンでは武田が最初に出て行ったものの、島田に渡ったところで福岡はそこへ付いて行くのをやめて一旦ブロックを作る選択をしています。ですから最初に挙げた前半のシーンよりもスペース自体は狭くなって差し込むのは難しい状況にもかかわらず、後半から投入された島田の起用と『ウイング(両SH)が中央のポジションを取ることによって2列目の中央に人数をかけて、ギャップ間でのプレーでそこのゾーンを支配しようという意図』(アルベルさん)によって行われた立ち位置の変更によって、中央からの持ち出しが実現できました。

また、アルベルさんは両SHが内側に入ることと同時に『幅を取るのはSBに変更しました』ということも仰っていましたが、このシーンを見ても左は確かにゴメスが張って幅を取っています。
ただ右に関しては最初に内側へ入っていたため奏哉が幅を取ることはできていません。それでも替わりにヤンが右に出てしっかり幅を取ることができており、この辺の連携もナイスでした。
中盤の底に残ってボールを配球するのは島田だけに限らず、島田が前へ出て行けば入れ替わるように福田が下りてその役を担うシーンもありましたし、このように役割と人物が必ずしもイコールにならずにやれていたというのはこの試合でも随所に見て取れました。

それでもすくいあげておきたいこと

キジェさんは前半について『ほぼパーフェクトだった』と仰っていたそうですが、だからといって新潟が全くダメだったかと言えば決してそこまでバッサリ切り捨てられるほどの内容だったとは正直思いませんでした。

例えば後半に見られたような星が内側に入って受けるシーンはいくつかありましたし、そこからカイトが空いたサイドのスペースに抜けるシーンもありました。
さらに例えば相手がプレスに来る中でテンポよく繋いで狭いエリアを抜けて逆まで展開するシーンもありましたし、少しずつ押し込まれてラインが下がる中でも、何度か左右に動かしたり、はたまたシンプルにサイドの裏に送ったりすることで陣地を回復するシーンも見せていました。

後半からの修正が効いて盛り返したということを考えれば、そりゃピッチの中で各々が気付いて共有して前半の内からそういうことができるのが理想ではあると思いますが、SHが幅を取るという元々のやり方も、前からプレスに来る京都はSBもどんどん出てくるから、その留守にしたところをSHで突きたいという狙いがあってのことでしょうから十分納得できます。
もちろん突けそうに見えたところで突けずにスピードアップできなかったり、ビルドアップでGKからSBに飛ばしたパスの後、もう1つ2つ違った動かし方までプログラミングできていたりできればよかったかなというのはあります。

ただ、SNSなんかで目に入った前半を必要以上にネガティブに、そして辛辣に捉える感想というのは、途中から押し込まれてしまったイメージに引っ張られすぎたり結果論的になっていすぎたりする場合があるようにどうしても感じたので、まあわざわざ書く必要もないのかもしれませんがちょっと思ったこととしてここに留めておこうと思った次第です。

まずはご安全に

ジャッジについては……難しいですね。

奏哉がエリア内で倒されたのに関しては、正直分かりません。
当然新潟のサポーターなんであの瞬間は『PKでしょ』と思いました。ただノーファールという判定も100%あり得ないとも言い切れない気もします。なんというでしょうか、もう少し近い距離で見てくれたらとか、もう少し副審と確認してくれたらとか、もう少し丁寧に説明してくれたらとか……。
なけなしにでも納得感みたいなものが得られれば多少はその後の心象も違ったのかもという気もしなくはありません。まあ難しいです。

正直前半に関してはわりと細かくコンタクトプレーは取ってくれていた印象でしたし、そんなに承服しかねるようなことはなかった気がします。
だからこそこのシーンあたりからちょっと基準が分かりづらくなった印象がありましたし、両チームとも少しずつヒートアップして実際カードも増えてしまったということだったのかなと思います。

とりあえず一番感じたことはアルベルさんも仰っていましたが選手をしっかり守ってほしいということです。
ゼロにはできなくともできるだけ正しい判定を下すとか、できるだけ笛は少なくゲームを円滑に進めるといったことももちろんレフェリーとして求められることでしょうし、見ている側としてもそれは望んでいるわけですが、フットボールというほぼ防御装備のない中で激しいコンタクトプレーも許容されるスポーツにおいては、危険なプレーから選手を守るということが何よりもまずは優先されるべきだろうと思います。

京都側もファールを取ってもらえないとかなんでカードが出ないのかとか不満を抱いているように見えましたが、両チームがそうであるならばやっぱり一層タフでハードな試合のためには、しっかり取るべきものは取ってほしいなと感じました。

最後に

ちょっとこれはふと思ったことなのですが、ここ最近はジャッジに対する疑問であったり、相手のややラフにも思えるプレーへの不満であったりをよく見聞きすることが増えたように感じます。それ自体はまあ決してポジティブなものではないですが、逆に言えばそこに関心がいっちゃうくらいうちのパフォーマンス自体は質の高いプレーをコンスタントにできるようになっているのかなとも感じました。

『ジャッジ云々の前にまず自分達の出来が…』みたいなことをうまくいってない年や時期は見聞きすることがあった気がしますが、今年はここまでコツコツ積み上げてきているスタイルというかやり方を表現したり、もしくは表現しようとしていたりすることができていて、基本的に毎試合を主役として振る舞えるようになれている気がします。
善朗がこの日『成長を感じられる試合だった』とコメントしていましたが、まさにそう思いますし、中断明けからの残り試合も自信を持ってやりつづけられれば大丈夫と強がりではなく思えました。

さて、中断です。
とりあえず選手やスタッフの皆さん、ここまでほんとうにお疲れ様です。特に選手には十分にリフレッシュしてもらって8月からの戦いに備えてほしいなと願うばかりです。

そして応援する我々もひとまずここまでお疲れ様でした。
これから本格的な暑さがやってきますが、みなさまどうぞご自愛くださいませ。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。