オレラグ
経由する深憂【戦評】第29節 モンテディオ山形戦
こんにちは。
今節が今季ラストのナイトスワンだったわけですが、試合後すっかり涼しくなってきたことで聞こえてきた秋の虫の声は自然と『青き旗』か、または『OVER THE RAINBOW』のように聴こえてしまい、上に広がる綺麗な星も何だか暗い顔した自分を惨めな奴だと笑ってきているような気がしてしまいました。
それはさすがに嘘。
そこまで見聞きの機能がアニメチックにおかしくなるようなことはありません。ただ心が病めるほどにしんどく堪える逆転負けであったことは間違いありません。
試合前に差し込んでいた綺麗な夕陽はオレンジを身に纏う者たちを勇気づけて鼓舞してくれているような光に感じたんですが、それは勘違いだったのか、はたまたそういう話じゃないよと、甘くない現実を直視しろという自分への戒めなのか。
またあーだこーだ冒頭から訳の分からない事をダラダラと書いてみましたけど、受け入れて消化するのにも時間はかかるというお話です。
スタメン
とりあえずスタメンです。
まずうちの方ですが、スタメンは前節から全く同じ11人が名を連ねました。そしてベンチの方にはU-20代表帰りの和輝と、前節珍しくベンチからも外れていた星が戻ってきました。
対する山形ですが、こちらは前節からの変更が2人。
まず右SBには和輝と同じくU-20代表帰りの半田が復帰。そして左SHはやはり前節負傷交代の加藤が欠場ということで、替わってこの夏マリノスから育成型期限付きで加入し、こちらもまたU-20代表から戻ってきたばかりの樺山がスタメンに抜擢されました。ちなみに山形加入後これが初のスタメンだったようです。
ということでいつも通り振り返りながら思った事を作っていただいた図を交えつつ書いてみます……と重い腰を上げたところでアクシデント発生。
DAZNの見逃し配信が見られない(日曜日のお昼現在)……。
今週からWEリーグが始まったということで新しいコンテンツ配信のためにバタバタしてしまっているのか、それとも負けた試合なんぞ見んでよろしい的な感じで誰かからの暗黙のメッセージなのか。
いや、まあ後者は自分で書いていてもちょっと意味分からないですが、まあ何かしらのトラブルが起こっているということでしょうからこればっかりは仕方ありません。そんなわけで今回は図なしで、さらにいつも以上に内容薄めになるかと思いますが振り返ってみます。
結実した右の攻撃
これは前節も思ったことですが、決して悪くないというか良い内容のゲームはできていたと思います。個人的にそう感じた事を大前提としてこの試合も考えたいというのはあります。
そして今節は前節と違い待望の先制点を、しかも前半の早い時間帯に取ることができました。
立ち上がりに関してはこの先制点のシーンのような最終ラインから右サイドを目がけたフィード、もしくはそこを狙う動き出しやアクションが何度も見られ、それが特に効果的に感じました。
試合後に史哉が先制点について聞かれた際『最初の段階でフランクさんのところに、相手の山田(拓巳)選手が厳しくきていました。その後ろのスペースは空いているなと思いながらプレーしていたら‥(略)』と話していましたが、確かにそう感じたのと同時に、個人的には山田拓は基本まずはロメロに付いていても、ボールが出てきそうになると割と早めに大外の選手を捕まえに行っているという見方ができるように感じました。
これは、3分に大外のロメロがフィードを収めることで相手を引き付け、内側の善朗がドフリーでもらえたというシーンがあった直前、同じように後ろから右を狙う素振りを見せたところで山田拓はロメロをCBに任せて大外の奏哉まで出る動きを見せていたところからそんな風に感じました。
それで実際史哉はそんな相手の動きを見極めることで先制点をお膳立てしたわけですが、先制点以降についても大外の奏哉へ山田拓が出かけたところで内側を走ったロメロへCBからフィードが出るシーンもありましたし、そうかと思えばシンプルな楔のパスをマークを引き付けたロメロがワンタッチで外へ流して奏哉が飛び出すという形もありましたし、かなりテンポよく攻撃の形は作れていたように思います。
FWが増えたとて
左に関しては右ほどシンプルなフィードから起点を作ってという形は多くありませんでしが、ヤンが左に下りてビルドアップをサポートすることが多かったため、そこで細かく繋いだ連携からヤンがそのまま深い位置まで持ち出すシーンなんかもありましたし、あとはやはり至恩の仕掛けを軸にいくつか見せ場はありました。
また、これは山形もリスク承知でやっていることではあると思いますが、ビルドアップ時のミスを奪ってからのショートカウンターや、カウンターのカウンターという感じで引っくり返して仕掛けるシーンなんかも左から中央のエリアに関してはいくつか作れていたかと思います。
しかし善朗のミドルしかり、カイトのシュートしかり、奏哉のシュートしかり、入っていてもおかしくないシーンは前半だけ切り取っても幾度か合った中でこの日も決められませんでした。
そして時間が経つに連れ良い形は減っていき、後半の攻撃は尻すぼんだ印象です。
カイトが試合後『焦りが出てしまったと思います』と話していました。その言葉通り焦ってノッキングしたということでも間違いではないと思いますが、個人的にもう少し考えて感じた事は、まず焦った(急いだ)割に深い位置を狙いにいくシーンが少なかったように感じました。これは動き出しているのに出せない(出す準備ができてない)、反対に動き出しがないから出せないという感じです。
そしてこれは結局自分達で招いてしまった状況かなとも感じました。
高澤を入れてカイトを右に移し、星を入れてカイトと高澤を2トップで並べ、最後は孝司も入れてCF3人が前線にいるような形へと変遷したこの日の交代策。
試合後に知り合いの方と話していてその方が仰っていたのは山形と比べて『迫力が足りない』ということでした。確かにそうだなと思うわけですが、少しずつFWを足していってもイマイチ迫力を感じるような恐さが出なかった印象を受けて、それはつまり迫力=人数の足し算ではきっとないのだろうということです。
人数を掛ければ当然相手も人数を掛けて守りますから、必然的にスペースもなくなるわけで、そうすると深い位置への侵入も難易度は上がるのだろうと思います。
いかにスピードに乗った状態で縦に出て行けるか、そして相手の目線や体の向きを前ではなく横から後ろに向かせた状態を作るか。史哉が話していた『最後まで焦れずに試合をコントロールしながら』というのはまさにその通りだろうと思います。
あとはパススピード、トラップ、動き出しのタイミング等々、1つ1つの技術的な質をとにかく上げることで川崎ではないですが『スペースがないなんてことはない』と言わんばかりまでレベルアップできればそれはそれで1つの理想ではあるんだろうとも思います。
最後に
試合後、今季の目標を諦めるとか諦めないとかっていうすぐ手前の話ではなく、積み上げてきたやり方、勝つために選択して取り組んできた戦い方を、明らかに停滞した現状のこのままで頭打ちなんてそんなの嫌だと思って昂ぶってしまい『このまま終わるなんて俺は嫌だ』とつい呟いてしまいました。
もちろん諦めるとか諦めないとかなんて話は言わずもがなでしょう。難しい戦いになってきたなぁと思うことと諦めてしまうことはどこをどう切り取って読んだとしても同義語にはなりませんから。
まだまだ高められるでしょと、まだまだ足掻きながらやれることはあるでしょと、そんな風に思うわけです。
横に動かしてからの縦という相手の視点を動かすアクション、少し引きだしてからの侵入、まとめ切れず書けなかったことは多々ありますが、ただ試合前に点が取れていない事について聞かれた梅山さんが『チャンスを増やすことがまず最も早い改善方法かなとは思います』と仰っていました。
ゴールを奪うために必要な事をいろいろ考える中でもこの考えはやっぱり前提として大事だなと思います。だから取り組み自体は決して悪くないというか間違っているとは思わないので、さらに磨いて決めるべきところで決められるようになってほしい、なりたい、いやなる。がんばりましょう。