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オレラグ

予感はきっと呼歓【戦評】第30節 東京ヴェルディ

2021年9月21日

こんにちは。

今季はヴェルディにダブル達成です。
長らく続いた負の歴史も、崩れる時は一瞬、あっけないものです。
いや、あっけないというのは今節の苦しい内容で言うと的を射た表現ではないのかもしれません。
ただ『前例は覆すためにある』なんて誰が言った言葉かは分かりませんが、そんなかっこいい言葉を今年のアルビレックスは1つ体現しくれました。

選手を鼓舞するためだとは思いますが戦前アルベルさんは『この試合に勝てば流れが変わる』と仰っていたそうで。
その言葉、ここから体現していこうではありませんか。

スタメン

さてスタメン。
今節もちょいといじってきたアルベルさんです。
まずここまで全試合スタメンだった奏哉を初のベンチスタートとし、右SBには史哉が入って千葉ちゃんが3試合ぶりのスタメンとなりました。
続いてボランチに目を移すと、22節栃木戦から8試合連続スタメンだった福田がベンチスタートとなり5試合ぶりに島田がヤンとコンビを組みました。
そして2列目はロメロが左に移り、右には9試合ぶりのスタメンとなる三戸ちゃんが起用されたということで、結果的にこれらの起用は見事に功を奏すことになりました。

対するヴェルディの方ですが、こちらは前節からの変更がウイングの一角を山下から杉本へ替えた1人のみでした。
あれだけ展望で振っておいた浜崎はベンチスタートで結局残り10分しか出場しませんでした。我ながら大すかしであります。まあ勝ったんでそんなのは別にどうでもよいのです。

前からのチェック

それでは今回も思ったことをちょっと書こうと思いますが、まずヴェルディのビルドアップとうちの前からの守備という部分でキックオフ早々から見られた形を図にしてもらいました。

ということで、右SBは展望で散々書いた浜崎ではなく久々に勝利した前節からの継続で深澤が起用されたわけですが、ビルドアップの時は図のようにその右SBが残って2CBと共に3人で最終ラインを形成する形が基本となっていました。
対してうちも深澤にはロメロ、アンカーの佐藤には善朗がまず見つつさらに若狭へも出られる場合は出ていました。また下りてくる梶川にはヤンが出て行き、カイトに関しては試合後にロメロが『うまく相手の左CBから追い込もうというのがあったので』とコメントしていた通り、GKかもしくは若狭を消すようなコース取りでンドカにプレスをかけるシーンが多く見られました。

この図の後、梶川がンドカからもらいワンタッチで若狭へ戻し(善朗が出る)、深澤を経由してその深澤に出たロメロの後ろへ流れた石浦へとボールが渡り、そこには島田が出て行きました。
この後ろを3人にして出てきた相手SHの背中にインサイドハーフが流れて受けるというのはこれまで通りのパターンであり、それに対してうちもある程度前から嵌めに行って蓋をすることが出来ていた印象でした。

結果的にこのシーンではその後、石浦がドリブルで中央へ逃げてから入れた縦パスを三戸ちゃんがカットというヴェルディからするとミスになったわけですが、そういうパスカットだったり中央に入ったところでプレスバックして奪ったりという形でマイボールにすることが前半の途中まではよくできていましたし、少なくともDFラインはゴールから大体ですが最低30~35mくらいの高さを維持しつつ高い位置で守備を続けることができていました。

パスカットという点で言うと、この石浦を始めとしたヴェルディから見て右サイドもそうですが、内側を消しながらカイトが寄せることでンドカを外に追いこんで詰まった縦パスを出させたり、もしくはンドカがそれでも斜めに楔のパスをトライしたところをヤンや島田が狙ってカットしたりという形も見られましたから、前からの追い込み方も狙い通りだったと言えるかと思います。

ちょっとした変化による影響

続いて2つ目の図は前半28分です。

恐らく飲水前後あたりくらいからだと思いますが、ヴェルディはビルドアップの際に右SBの深澤が高い位置を取るようになっていた感じに見えました。
それによって、人数としては1つ目の図の時も3+1(ンドカ、若狭、深澤、佐藤)に対して2+1(善朗、カイト、ロメロ)で1人少ない状況は変わらなかったのですが、とはいえロメロが高い位置に出て行ける分だけ全体を押し上げられていました。

しかし深澤が高く出たことでロメロも少し違った対応を迫られるようになり、またこのシーンのようにンドカがうまく間を通して若狭に展開したところから高い位置の深澤に送るような工夫も見せてきたことで全体の陣地を上げられてしまう状況を作られたように感じました。

この直前には相手のゴールキックからのリスタートでカイトがGKまでプレスへ行き、連動してロメロが若狭まで出て行こうとしたところで飛ばしたパスを深澤に通され、そこに島田が出たものの小池を使ってうまくいなされ中央の石浦にフリーで持たれるシーンもありました。
また41分頃にボールがパンクしたタイミングで島田がベンチに向かって『どっちか優先しないと』と声を掛けていて、これも恐らく前線の守備についての話じゃないかと推測したのですが、とにかく少し相手が立ち位置を変化させてきたことで、それによる直接的な大ピンチこそ作られませんでしたが、状況が多少変わったとは言えたかと思います。

善朗後のやり方

後半について、まずアルベルさんは『ボランチがどこまでサイドにスライドするかという点をうまく修正できていたと思います』とコメントしていました。

自分の印象としてはラインを下げたということではないと思いますが、気持ちまず4-4-2のブロックをミドルサードで作って構えるところから守備をしようという意識が強くなった気はしました。それである程度しっかり我慢するみたいなことが徹底されたのかなと感じました。
ただその中でも、ブロックの外はある程度やらせていながら、少しラインコントロールが前半ほど揃わなくなっていて裏を取られるシーンが増えたのは要改善かなとは思います。

とはいえ、後半に関しては守備のオーガナイズよりも奪ったボールをすぐに失ってしまうことが多かった部分がより重い課題かなとは感じました。
もちろんビハインドを負った相手の守備への切り替えと強度が多少なりとも速く強く意識されるようになったというのはあるかと思います。
しかし前半には見られた、奪ったボールを素早く縦につけてスペースに抜ける形だったり、もしくは一旦後ろへ下げても中盤へ出し入れしつつ自分達の時間を長くして落ち着かせたりというプレーは後半になって影を潜めたように感じました。

そしてこれは2点目の直後にお役御免となった善朗の存在が少なからず影響しているのかなとも思います。
先に言っておきますが別に替わって入った福田がよくないとかそういうことではもちろんありません。福田は善朗ではないですし逆もしかり、善朗は福田ではありません。まあちょっと回りくどい言い方をしましたが、1人1人特長は違うので求められるものも違うという話です。

少し脱線しましたが、善朗が下がった後にパスを受けてキープすることに限らずとも運ぶドリブルなんかで時間を作ったり、もしくはシンプルに孝司へ当ててその落としやセカンドボールを徹底して拾ったりというやり方も、自分達の時間を確保する確率を上げる意味では増やしてもよかったかもしれません。

まあ日々成長、勝って反省できればこれ幸いです。

史哉という賢人

改めてですが今回は少しメンバーをいじった中で、3つ目の図のような可変が行われました。

ビルドアップの際に右はSBの史哉が残って後ろを3人にしつつ三戸ちゃんが幅を取り、左はSHのロメロが内側に入ることでSBのゴメスが幅を取る形でした。
特に右に関してはアルベルさん曰く『ボランチが背後に下りる必要性がない形』を作ると共に『(三戸は)守備に課題があるので後ろにCBもできる早川をサイドバックで起用してバランスを取りました』ということだったそうです。

そういった意図が素人目の自分でもハッキリと理解でき、またそれを実践できているというのが分かったわけですからお見事です。
そして再三の仕掛けに加えゴールまで決めた三戸ちゃんも当然素晴らしかったのですが、それと同じくらい史哉の貢献も重要だったかと思います。

ちょうど前日に見たアーセナルの試合で冨安が同じような役割をやっていて「賢いしうまいなぁ」なんて思っていたんですがうちにも賢くてうまい選手がいました。ここ最近はスタメンが続いていましたし、なんだか当たり前のように見てしまっていましたが、改めて史哉の凄味を感じつつ堪能できたような気がします。

最後に

勝ち点51が4つも並ぶというなかなかクレイジーな状況で迎えた今節でしたが、ここで+3を積み上げてひょこっと飛び出したのがうちと甲府でした。そして来週この両チームがぶつかるわけです。
いや~日程君さすが。堪らんですね、楽しい。

もちろん楽しいなんて今節勝ったからこそ言えるのかもしれませんし、やっている選手達からしたらそんなこと思ってる余裕もなく心身共に疲弊するばかりなのかもしれません。
だからこそやっぱり応援したいわけです。

まあとにかく次節もそうですが、それ以降も1つ1つみんなでがんばりましょう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。