ALBIWAY ALBIWAY

オレラグ

不均衡の平行線【戦評】第34節 V・ファーレン長崎戦

2021年10月18日

こんにちは。

日曜日の朝起きたらベルギーで三笘が後半途中出場からのハットトリックというニュースを見ました。しかも前半に味方が退場して1人少なくなっていたとのこと。どんな試合内容だったかはちょっと見てないので分かりませんが、今なら相手チームのセランのサポーターと『1人多いのも考えものですね』なんて共感し合えそうです。

急にグッと冷え込み、外は風が強く空は厚い灰色です。
引っ張り出したお気に入りのライオンズパーカーで温まりつつ風邪で自分が倒れぬように、共倒れ的な土曜日について思った事を書いていこうかなと思います。

スタメン

ではいつものようにスタメンから。
両チームとも前節から3人の変更がありました。

まずうちですが、サスペンションの千葉ちゃんに替わってCBには史哉が入り、怪我の至恩に替わって左SHにはゴメスを1列上げ、空いた左SBには田上が入りました。また右SHには2試合ぶりの三戸ちゃんが入ります。
そしてベンチの方には長期離脱から復活した巧がついに今季初のメンバー入りを果たし、さらに来季の加入が内定している強化指定のシマブクも初のメンバー入りとなりました。

対する長崎の方ですが、こちらはまず2トップが前節からそっくり入れ替わり都倉と名倉がコンビを組みました。また、前節まで名倉が入っていた左SHには4試合ぶりとなる山崎が抜擢され、右も前節ケガから復帰したウェリントン ハットが入りました。

脳震盪の影響が考えられた植中の欠場は想定の範囲内でしたが、加えてエジガル ジュニオと澤田というそれぞれ5節と4節から全試合出場していた2人がベンチにも入っていなかったのは驚きでした。
どういった理由かは定かではありませんが、とはいえ替わりに出てくるのが都倉や山崎であり、ベンチにはイバルボも玉田も控えているわけですから恐ろしい限りです。

運ぶ先にあるものとは…

先に1つ拾ってみたシーンの話からしてみます。
後半の立ち上がりが過ぎたあたり、通算タイムで61分です。

うちのビルドアップで奏哉から史哉、航斗、舞行龍と右から左へ動かします。舞行龍に入ったところで相手の右SHウェリントン ハットがプレスに来るのですが、ここを素早く2タッチで田上へ渡してかわすと、田上も相手の右SB米田が出てきたところをダイレクトのパスによって中央の善朗へ渡してうまく剥がしました。

相手が出てきた(後ろで動かしながら意図的に引き出した)ところを早い球離れによって外すこと自体はよかったのですが、善朗が受けた時点で近くにはゴメスしかいなく、また相手のDFラインも十分に高い位置を取った上で準備が出来ていました。
そのため善朗がゴメスへ預けたところで、善朗に付いていたボランチの鍬先にそのままゴメスまで出て来られ、うちとしては前が詰まったアップアップの状態となってしまいやり直さざるを得なくなりました。

退場者が出た前半の内からちらほらそういった形は顔を覗かせていたかと思いますが、やはり後半になってから明らかにそういったシーンが多くなりました。

チャンスではできていた事

例えば先制の場面では左で受けた田上から縦に流れた善朗に入ったところで、中央の島田が素早くフォローに入り、またその瞬間前にいたゴメスが裏に抜ける動きをしたことで相手のDFラインをわずかでも押し下げることができていました。
その動き出しによって、相手の人数自体はたくさんいながらも島田が少し持ち出してそこからワンツーをする時間と空間ができていました。

また、左サイドから運び出す間に星が中央まで寄ってきて裏抜けの動きを見せるという後半では数少ない良い連携と運び出しの場面が結果的に76分のカイトのミドルというチャンスにも繋がっていました。

奥行きを使ったりもしくは見せたりするプレーがなくなってしまったことで、10人でも極力下がらずに高い位置を維持しつつ奪いに行くという狙ったプレーを長崎は継続することができたのでしょうし、それによってうちが奪ったり拾ったりしてもすぐに失ってしまうという場面の増加にも繋がっていたのかなと思います。

拾って図にしてもらった61分のシーンの時点で解説の前田さんも『裏に飛び出す選手がいても面白いのかな』と仰っていましたが、不完全燃焼な後半となってしまった1つの理由として奥行き不足というのは強く感じました。

どこか弱気な感じ

単純にポストプレーの後の落としのパスや、中盤でやり直す際の横パスといった何でもないところでのもったいないパスミスが散見されたのも痛恨事としてありつつ、それと同時に1人多くなってからは中央へ差しこむパスやサイドにおいても縦に入れてよさげなシーン、というか入れた方がよさげな場面で躊躇ってしまっていたように感じたのはなかなかどうして苦しくもどかしいものがありました。

前半の終盤。
43分は最終ラインの奏哉、直後の44分はサイドの星がそれぞれボールを持った際に中央でヤンが十分受けられるであろうシチュエーションで、いずれもブロックの外とバックパスを選択したシーンがありました。
この時点では奏哉も『落ちついてやろう』みたいなジェスチャーをしており、また実況解説のお2人がその少しあとに仰っていた通り、残り少ない時間も考えて『このままでいいということでしょう』というのは確かに納得できるものでした。

しかし後半に入ってもちょっと慎重な選択が多く、それによって長崎もラインを上げやすくなりズルズルと流れが悪い方へと傾いてしまった印象でした。
65分には相手のゴールラインから30mくらいのある程度高い位置のサイドでゴメスが起点を作り、落としたボールを田上がもらった時点でカイオと鍬先の距離が離れていて中央に大きなスペースがあるという場面がありました。
さらにその中央のスペースでヤンも孝司も受けられるような状態、もしくは準備ができていながらも田上はバックパスを選択し、そのパスをもらった舞行龍が多分『前を見て!』という声と共にダイレクトで田上に戻すシーンがあり、それが何だかこの試合の後半における象徴的なシーンにも思えました。

試合後に航斗が『自分達はまず隠れてしまっていた』『相手のプレスに不安を抱えながらプレーしていた印象』という言葉を残していましたが、まさにそんな感じで、見える味方にパスを出すばかり、いわゆる足下足下ばかりの展開になってしまい、そうなると当然守る長崎の選手もうちの選手を捕まえやすいわけですからそれで手詰まりになってしまっていた印象でした。

必要以上に慎重な判断といい、足下へのパスに偏ってしまったところといい、何だか臆病になってしまったというか恐る恐るプレーしてしまっているように見えたのはなぜだったのかという不満というか疑問は感じました。

1人少なくなったからこそより割り切ってくる相手のカウンターを警戒したとか、1人多いからこそじっくり動かして相手を走らせればより効果的に攻められるという展望があったのかもしれませんが、結果的には自分達で苦しくしてしまったゲームと言えるのかなとは思います。

最後に

退場となったシーンもそうでしたが、後半の立ち上がりまでは高い位置からの守備で回収する守備がまだ見られていました。しかし先に挙げたようなもどかしさの残る攻撃によって深い位置まで運べずにそういうアグレッシブな守備からリズムを作るみたいなこともできなくなった印象です。

退場者が出た時に多くなったチームに対して『これは逆に難しくなるかも』なんていうのはサッカー好きが言いがちなフレーズです。何を隠そうこの日のその瞬間も自分は偉そうにそんな風に思ったわけです。そして今回は残念ながらその懸念が現実になってしまいました。
別にだから見る目があるだろとか、得意顔をしたいのではもちろんありません。というかそれだけで見る目なんて測りっこないでしょう。

1人減ったことでそのチームがよりやることがハッキリするとか、1人1人がよりハードワークするから多くなった方が難しくなるというのは確かにそうなんですけど、そもそも退場者が出れば11vs10で試合ができるという大きなアドバンテージを得られているはずなのです。
いかに数的優位を作ったりギャップを狙ったりできるかということで立ち位置や動かし方を普段から工夫している中で、退場者が出れば常に数的優位の状態でプレーできるわけです。

ちょっと回りくどくワーワー書いてしまいましたけど、つまり何が言いたいかというと結局退場者が出た時というのも捉え方次第であり、数的優位になってうまくいかなくなるのなら孝司の言う通り『単純に実力不足』という話なのだろうと思います。

お互いに3しかいらない試合で1しか取れませんでした。じわじわと風船は萎んでいます。それでも今季は残り8試合あります。思い切り息を吸い込んで勝ちたいという思いを目の前にやってくる試合で吐き出して欲しいですし、それを自分も応援したいという、ただそれだけです。

がんばれ、がんばろう。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。