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オレラグ

狙い打たれた稲妻【戦評】第35節 ブラブリッツ秋田戦

2021年10月25日

こんにちは。

これがサッカー。いや、これもサッカーというべきでしょうか。
7vs3のポゼッション、4倍以上のパス数、シュート数も上回ってはいたものの最終的なスコアは1-2。

相手のスタイルどうこうなんていうのは負けた側が何言ったってそれは遠吠えであり言い訳になります。だから勝たなきゃいけないのでしょうし、勝利こそ正義っていうのはそういうことでしょう。

サッカーなんてこんなもの、これぞサッカー、いろいろ言い方はあるかと思います。だからこそサッカーって面白いなと思うわけです。もちろんこんな状況でそんなこと言ったところで『そっち方面の感想に逃げた』とかってズルイ感じで受け取られることもあるのかもしれませんが。
まあそんなことはいいのです。思ったことを毎試合書いているところなので今回も正直に思ったことを書きたいから書くのです。
そしてとにかく辛い、悔しい、ただただそんな日です。

スタメン

まずはうちのスタメン。
CBに出場停止明けの千葉が帰ってきました。またボランチは島田と今日は福田のコンビでヤンがベンチスタートとなります。
そしてちょっとしたサプライズ。前節初めてベンチ入りした特別指定のシマブクが今節は左SHとしてスタメンに抜擢されました。ここで先に書いておきますが、デビュー戦にも関わらず起点となるプレーあり、積極的なドリブルによる仕掛けありと、いくつか見せ場を作ってくれました。次節以降も活躍してくれることを楽しみにしたいと思います。

対する秋田はFWの齋藤が出場停止ということで2試合ぶりの武・吉田の2トップコンビでした。また前節負傷交代の輪笠はやはり欠場ということで普光院がボランチでスタメンに入りました。

大変だけどなんとかなる範囲

どう点を取るか、どうチャンスを増やすか、お互いの特徴がぶつかりあったという意味で戦前から予想された通りの試合は、結局問われてくるところもそういう予想された通りのポイントになった、というかなってしまったという感じかと思います。

4-4-2のブロックを敷いてくる秋田に対して、まずうちはCBの横、あるいは中央にボランチが下がる、もしくは前半で言うと主に奏哉が残って秋田の2トップに対して+1の形でビルドアップの入口を作ります。
そして中盤の底には後ろへ下りないもう1人のボランチが立ち、相手のボランチ脇には左が主に田上で、右は善朗or三戸ちゃんが入れ替わり立ち替わり入るという感じでした。

数的優位を作りつつ、中間のポジションを取りつつ、その中間やもしくは大外に入れて相手を動かしながらまた空いてくるスペースに入っていって崩していこうという狙い自体はこの日も随所に見られたかと思います。
ただそれが相手にとって十分な脅威となっていたかと問われると、なかなかそうとも言い切れなかったというのが素直に感じるところです。

じゃあなぜそう感じたのかとまあいろいろ考えを巡らせるわけです。で、それはきっと1つではなくて様々な事が複合的に絡んでいるというのはこの試合に限らずですが大前提ではあるでしょう。
ただそれをしっかり紐解けるほどの知識も洞察力も表現力もありませんから、こんなことも言えるかもなってことで感じた事の1つが、相手を引き出し切れていない、リスクを掛け切れていないのかもということです。

例えば、内側に立った田上が少し下りることで相手のボランチを少し引っ張って、その空いたスペースに孝司が下りることで今度はCBを引っ張って、その裏にシマブクが外から抜けるなんていうシーンがありました。
例えば、奏哉が後ろに残って相手の2トップに対して+1を作ったところで、相手の左SHが前に出て嵌めに来ました。さらに空いた外側のスペースに福田が流れると今度は左SBも出て来ます。それによって生まれたサイド裏のスペースに元々内側に入っていた三戸ちゃんが流れて抜け出そうとするなんてシーンもありました。

相手を動かしながら空いたスペースを活用しつつ攻略を図るいいシーンです。ただいずれも前者で言えばシマブクに見ていた相手の右SBがしっかり付いて来ていて結局ボールは出せませんでした。
後者に関しても三戸ちゃんが内側に立ったところでマークに付いていた相手のボランチがそのままサイドまで付いていき、またその後ろにCBもカバーに来ていました。

引き出し切れていない、リスクを掛け切れていないという書き方をしましたが、言い替えると秋田的にはちょっと頑張れば何とかなるくらいの範囲でしかそもそもうちはそういった攻略を図るプレーができていなかったのかなという印象がありました。

なんとかならないほどに

ポゼッションする中で後ろに+1を作ったり、片方のSBが高い位置まで出てライン間を狙ったりという意味では、前々節秋田と対戦した山形がいい比較対象でした。
山形はまずうち以上にGKも関わりながらビルドアップを行う中で、+1を作ることで秋田のボランチやSHをかなり高いところまで引き付けておいて内側に入ったSBへ縦パスを入れたりライン間に起点を作ってチャンスを作っていました。秋田からするとそこまで引き出されるともうその後に頑張ったところでリカバリーが効かないよ、みたいな状況を強いられている格好です。

もちろん引き付けようとすればするだけ秋田もラインは上げてきますし、ショートカウンターのリスクも増すわけですが、高い位置を取るSB、山形で言うと半田に対しては秋田はなかなか捕まえ切れていなかったのに対して、田上はいい位置に入れてはいても消されているというか隠れてしまっている印象があり、そういったことも含めて今節のうちもさらに大胆に相手を誘き寄せてから出て行く形があってもよかったように感じました。
試合後にアルベルさんが仰っていた『プレースピードがとても遅かった』というのはこの辺にも関わってくる話かと思います。

ただ当然そういったことに限らず攻略の道は他にもあるわけで、時間帯によっては前後半共に何度かありましたが、ラストサードまで完全に押し込んでしまってから、しつこいくらいに揺さぶって押し切るということも1つだとは思います。

これにはより繊細な技術や連携が必要になると思っているので個人的にはより難しい選択にも感じるのですが、それでも前半終盤にあった善朗のミドルに至った中央の崩しみたいなこともできるわけですし、後半ゴメスがカットインからスルーパスで福田が抜け出しかけるシーンなんかも面白くて良いトライでした。
ただその福田が抜け出しかけたシーンに関しても、最初のゴメスのトラップの置きどころ次第で善朗がサイドからえぐるようなより良い形ができたかもしれないというのも感じるところで、そういうトラップの角度とか体の向き、ランニングのコース取りとか細かい質がいずれにしても求められる話なんだろうなとなんとなくですが感じました。

要修正な話と悔やまれる話

やられるとしたらこれしかないよね、というセットプレーと最後の力技でまんまと失点を喫してしまいました。
特にセットプレーに関しては2試合連続でCKからですから大いに反省でしょう。今回のやつに関してはセカンドボールのこぼれ球なので何とも言いづらいところではありますが、結果的に前節も今節もどちらも元々マンツーマンで付けない選手にやられてしまったというのは悔しい部分でした。
まあ何を取って何を捨てるかという話ではあるのでドラスティックにやり方を変える必要はないと思いますが、改めてこだわってやっていかないといけないのは確かでしょう。

でもやっぱりまた戻りますが結局どう点を取るかという方を考える試合ではあります。
正直な事を言うと、確かになかなかチャンスも少なくお世辞にも豊かな内容でもなかったですが前半は最低限これでいいと感じてもいました。飲水明け直後に千葉から鋭い楔が孝司にこの日初めて通り、そこからいくつか縦パスを刺す試みが見られ、終盤にはいい連携から善朗のミドルもありましたから、90分トータルのデザインとして考えれば全く前進できていないとは思いませんでした。

ただそんな風に感じていたことを思い出しつつ改めて試合を振り返った時に、後半の立ち上がりが試合のトータルデザインという意味では少しもったいなかったかなという気がしました。
というのは、後半になってまた秋田ももう1回パワーをチャージして前へ出てくる中で、少し簡単にボールを失ってしまう、もしくは捨ててしまうシーンが続いたように思います。実際ポゼッションも後半の立ち上がりは少し拮抗するような数字にもなっていて秋田が攻め込むシーンも増えていました。

失うとか捨てるとか言っても別に軽率なプレーをしていたわけでは当然ですがありません。裏を狙ったけど大き過ぎたとか、ライン間に入れたけど次が続かなかったとかチャレンジしてのロストです。
だから結局ここも質という話になるんでしょうけど、意識としてさらにシンプルに裏というのをチームとしてハッキリさせてもよかったのかなという気もしました。
なんて書きつつも、的外れな話を書いている気もずっとしているんですけど、もうそれは単純なリテラシー不足なので仕方ありません。

文句なしのファインゴール

ずっと暗いのもあれなんで明るい話もしたいということで、カイトのスーペルゴラッソです。もうあれだけでお金払う価値があるような見事なゴールでした。

『自分が入ったらシュートを打っていこうという意識があった』と話していたようにベンチにいる時から恐らくGKのポジショニング含め準備はできていたのでしょう。
そしてあのシーンは左サイドからのFKを蹴った直後でGKが少し留守にしているシチュエーションでした。それをしっかり見逃さなかったのは見事でしたし『谷口だけが見えていました』という実況の岡田さんのフレーズも何だかかっこよかったです。

またその後解説の永井さんが『キックの技術の高さ』を称賛されていましたが、仰る通り空いているのが見えていたとて入れられるかはまた別の話なわけです。

まずはトラップがすでにシュートを考えて前の方に置くことができていました。
そしてスピードに乗った状態でDFも追ってきている難しい中でも、キックをコントロールするために蹴り足は残す感じで、シュートを打つとかボールを蹴るというよりも少し弾んでいるボールを足に乗せてゴールへ運ぶ感覚でできていたように感じました。
さらに体勢を低くしつつさらに重心をやや後ろに残すことによって枠を越えないような繊細な飛距離の調節もされていたかと思います。

ほんとに綺麗な虹を見させてもらいました。

最後に

この2年アルベルさんの下で積み上げてきている戦い方であれば、こういう試合こそディテールを中心に敗戦からの学びというか気付きはいくつもあるような気がしています。ってか糧にしないといけないでしょう。

まあ首の皮一枚繋がった状態で昇格争いしている時期に学びだの糧だの言ったところで綺麗事だとかって言われるんでしょうけど、勝つしかないとかただただ勝利を求めるなんていうのは大前提としてそういうことも思いますよよって話です。

気持ちだとか気合いだとか意欲だとかってのはなくてはならないものであると同時にそれでどうにかなるほどサッカーって簡単じゃないのは間違いないと思うんですけど、それでも知ってか知らずかそれだけを振りかざして叱咤というか文句を言われたりすることもあるんですからほんとに大変だよなという感じです。

いや、別に何が言いたいってわけでもないですけど、残り7試合わずかでもある可能性を求めつつ、変わらず全力で勝利を目指す姿を見せてほしいですし、それを自分も変わらず応援したいなと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。