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オレラグ

突いたキジ、突かれた白鳥【戦評】第12節 ファジアーノ岡山戦

2020年8月17日
こんにちは。
有馬さん嬉しそうでしたね。
岡山としては厳しいコンディションの中でもやろうとしていることを意識しながら戦い切って、最後に掴み取れたのが勝ち点3だったという感じなんでしょう。そりゃあ嬉しいですよね。
新潟としては、う~ん……難しい……。
負けていいゲームなんてそもそも存在しないのは大前提として、個人的にはこういう内容の試合をした以上、特に負けちゃいけなかったなという風には感じています。

スタメン

新潟の方は前節から3人変更。
まず出場停止の至恩の位置にゴメス。そしてボランチに島田。
2トップの一角には新太を休ませる意図もあったかもしれませんが、マンジーが3試合ぶりのスタメンに名を連ねます。
また、ベンチには加入したばかりの荻原も早速入りました。
対する岡山は前節から半分にあたる5人を入れ替えてきました。
まず田中裕介がケガで、チェ・ジョンウォンも前節退場となっていたためCBの位置に後藤を起用。また、2トップが前節の齋藤、清水ペアからイ・ヨンジェ、山本ペアに。そしてなんとこのタイミングで上田、上門の2人がベンチスタートとなり、右SHに三村、ボランチには白井、関戸という今季初の組み合わせで臨んできました。
展望記事の予想、またも大胆に外されました。
でもここまで全試合スタメンだった2人をここでベンチスタートにするなんて予想できませんし、DAZN解説の桂さんも「びっくりしましたけども・・・」と仰っていたくらいなので、もうこればっかりは開き直ります。

前半

お互いにまずは長いボールを中心に据え、守備では前から奪いに行くプランが見られましたが、その中で岡山の方がゲームの入りは押し込むこととなります。
11分にはこの日最初の決定機。
関戸のくさびを山本がフリックして、狭いスペースを三村が抜け出し、GKと1対1の状況となってシュートを狙いますが、小島のナイスセーブでここはしのぎます。
その後、少しずつ新潟は後ろでゆっくり繋ぎながらゲームを進めることで自分達の時間を取れるようになった中で、中島を経由しながら舞行龍が楔を入れたり、シルビがスペースに流れて起点を作ったりというシーンを作ります。
飲水タイムを挟んで23分は、史哉のアーリークロスをゴメスが落として島田のミドル。25分には右サイドで受けたロメロが強引に突破してエリア内まで持ち込み、GKの意表を突いてニアを狙ったシュートがポストを叩く決定機も作りました。この時間帯は岡山陣内に押し込んだ状態でボールを動かしながら、ペースを握ることができていました。
しかし、アクシデント発生。
恐らく筋肉系のトラブルだと思いますがロメロが負傷でアウト。
31分ロメロ→荻原、早速登場となります。試合後のインタビューで聞き手の加戸さんに善朗や新太もいる中で荻原を選択した理由を問われた際、「最も若くフレッシュだったから」ということをアルベルさんは仰っていました。
アクシデントに見舞われながらもその後数分は変わらずプレーできていた印象です。
荻原も早速1ついいサイドチェンジを見せて、ポストプレーからクロスに至る攻撃の一端となれていましたし、34分にはCB間に下りた島田から左サイドへ展開し、ゴメスがバイタルに入れたボールをシルビが受けてシュートというチャンスもありました。
しかし、終盤になるとまた岡山も盛り返してきます。
43分には内側のスペースで野口に受けられて、イ・ヨンジェとのワンツーであわや抜け出されかけるシーンを作られました。
新潟の守備が2トップと後ろで離れるようになってしまって、岡山はボランチが下がってボールを引き出しながら割と簡単に前進できるようになっていたような印象がありました。
前半終了、0-0。

後半

新潟が先に動きました。
ゴメス→善朗。善朗が右SHに入り、左利きの荻原が左サイドへシフトしました。
後半の入りは解説の桂さんも「前に出て来なくなりましたかね」と仰っていたように、新潟の2トップが相手のCBまで行かずに中央で受けようとするボランチの監視を最優先で行うようになります。
また、ロッカーから戻ってくる際に舞行龍とアルベルさんが会話をしていたのがカメラに抜かれていましたが、ジェスチャーを見る限り、改めてサイドのスペースに長いボールをまずは送ろう、みたいなことのように見えて、実際に始まって1分くらいで舞行龍は対角線に大きいボールを送っていました。
大きく試合の流れを変えるようなことではありませんが、少し盛り返された前半終盤の流れを切ることや、前半同様試合の入りは特にセーフティーにということで、ハーフタイムに伝えられたであろうことが立ち上がりから見て取れたような気がします。
すると、後半10分もしないうちに両チーム動きます。
まず新潟の方はマンジー→新太を投入します。
マンジーはいくつかの丁寧なポストプレーもありましたし、守備も最低限頑張ってくれる選手ではあるのですが、この日もシュートは0でしたし、オートマティックに動けるほどの連携もし切れてない印象で、新入部員感というか、まだまだフィットし切れていないのがなかなか悩ましいところです。
FWですからもっと主張していい気もしますし、このご時世“密”は避けないといけませんが、みんなでトランプとかウインニングイレブンとかやってさらに仲良くなってくれるといいのかなぁなんて、100%余計なお世話ですがそんな風に思っています。
さて岡山の方ですが、こちらは山本、三村→上門、上田の2枚替えを敢行してきました。新潟の新太もそうですが、こちらも満を持してといった交代カードを切ってきます。
これによって上門はそのままFWで、関戸が右SHに移り、ボランチは上田と白井といういつものセットとなりました。
60分を過ぎていよいよ一番しんどい時間帯に入ってくる中で、岡山は野口→清水を投入して、上門をいつもの左SHに持ってきた数分後に椋原が足をつって下口と交代。これで3回の交代枠を使い切ります。
新潟も63分に疲労が大きいということで舞行龍→田上を投入して、3回の交代枠を使い切ります。この交代によって新潟は新井がCBで田上が左SBへ入りました。
新潟で言えば新太、岡山で言えば上門や清水といった途中から入った前線の選手によって少しゲームに動きが出てきますが、お互いに決定機と呼べるほどのチャンスは作れないまま時間は過ぎます。
シュートシーンと言えば新潟の方はCKのこぼれ球を島田が狙った2本、岡山で言えばCKからイ・ヨンジェがあわせたシーンと上田が狙ったFKくらいで流れからはほとんどシュートはないような展開でした。
70分頃までは新太を先頭に前から奪いに行ったり、高い位置での守備で相手の攻撃を制限できたりしていましたが、残り10分を切ったあたりから少しずつ新潟の守備のブロックが広がってきます。
84分、ライン間で清水に受けられたのを起点に、イ・ヨンジェに抜け出されそうになったところは、トラップミスで事なきを得ましたが、その4分後でした。
新潟が前からプレスを掛けたもののポープのキックで一気に左サイドの徳元へ展開されます。内側に入っていた上門がパスをもらってドリブルで運び、相手を引き付けた上で横の白井へ。フリーで受けた白井が思い切りのいいシュート。失点。
このシーン以外にもこの日いくつかありましたが、プレスを一気に外して局面を変えることができるポープのキックは見事でした。
最終盤、FKのこぼれ球からシルビのシュート、さらに3連続CKからゴール前に迫って新太のシュート、ラストにはマウロを上げてパワープレーも試みますがゴールは奪えず。
試合終了、0-1。
9試合ぶりの敗戦となりました。

ポゼッションの質

まずこの試合について、前半は特にですが90分を通じてギアをローに抑えたまま進めたい意図があるのかなという風に感じました。
それはつまり、相手ボールであればある程度奪いに行きますが、マイボールになれば後ろでゆっくり動かしながら急がずにプレーして、ラスト10分、15分くらいでグッと出力を上げて1点を取って勝ち切るみたいな展開です。
こういう厳しい日程やコンディションも考慮して、そういった割り切ったプランで3ポイントを狙っていたように見えました。
ただ、これで負けてしまうと残るものも少なくなるので、だから冒頭で特に負けてはいけないゲームだったと書いた次第です。
そんな中で、攻め急がない意識はいいとして、マイボールで動かす時に選択肢の少ない場面が多いように感じたところが気になりました。
前半ロメロがポスト直撃のシュートを放ったシーンでも、ロメロにボールが入った際に結局強引に突破できてしまったわけですが、周囲のフォローは遠い印象でした。
ビルドアップでも4バック+2ボランチにきっちりと相手の2トップ+中盤4人で嵌められて、蹴らざるを得なくなり守備からリスタートというシーンも幾度も見られました。
個で上回る質的な優位を活かすのは問題ないですし、ビルドアップでも島田や中島がレシーバーとなって縦パスを入れて全体を押し上げることができていたシーンもありましたが、余裕を持ちながらボールを動かしたりチャンスを窺えたりしているように感じられなかったのは正直なところです。
もちろん、ローギアのまま急がずにやろうとしていたというプランはあくまでも自分の見立てです。これに確証をもっているわけでもありません。
ただ、仮にそんなプランではなかったとしても、やっぱりサイドに入った時のフォローの少なさは問題でしょうし、ビルドアップで嵌められてしまっているのも岡山の狙い通りにやられてしまったと考えれば尚更問題となります。
まだまだ暑い日が続く中で、どんどん試合がやってきてきつくなってくるからこそ、ポゼッションの質を上げてできるだけ守備の時間を減らすということは、エネルギーを消費しないために一層の改善が求められる部分と言えるでしょう。

最後に

各々良いプレーは随所にありました。
復帰2戦目の小島はビッグセーブもあり、的確な状況判断でビルドアップの土台にもなっていました。
島田もゲームコントロールだけでなく、前後半共に終盤の苦しい時間帯にスプリントでプレスを掛けて、チームを奮い立たせるような、もう1度集中力を上げて引き締めるようなアクションを見せていました。
そして新井はSBとCBのそれぞれで安定した守備を見せると共に、さすがの縦パスも供給していましたし、SB時には大外に開いたSHをフリーにするためにインナーラップをして相手のDFを引き付けるプレーもしていました。
久々の敗戦でまたもや連勝とはならず、完全に心が沈みかけてしまったので、印象に残った好プレーをいくつか挙げてみたところで今回は締めにします。
「生身の人間には本当に辛い」スケジュールが続きますが、何とか乗り越えましょう。
くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。