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オレラグ

いつの日か輝くだろう【戦評】第38節 栃木SC戦

2020年12月4日

こんにちは。

試合前にふと空を見た時は月が綺麗に見えたのですが、試合中見た時は流れる雲によって隠れたり少し顔を出したりしていて、この日の試合自体もそんな感じだったように思います。非常に大雑把な印象と無理矢理当てはめた感は否めないですけど。

とにかく、帰ってから食べたお茶漬けが体にじわーっと沁みるほど寒風に吹かれた12月のナイトゲーム、いつものように振り返ります。

スタメン

新潟の方は前節からの変更が4人。
まず前線の矢村、右SHの中島、そして出場停止明けの島田が揃って2試合ぶりにスタメンとなります。
そしてGKも2試合ぶりに和輝が入っていたのですが、前節ケガから復帰したばかりの小島が再びこの日はベンチにも入らなかったということで、少し心配なところではありました。

対する栃木は前節からの変更が2人。
まず右SHのポジションに大島ではなく山本が2試合ぶりのスタメン。
そして契約の関係で出場できない柳の替わりは実に17試合ぶりの出場となるベテランの高杉が入りました。

前半

開始15分の時点でポゼッションは66%vs34%だったということで、立ち上がりから予想された通りのゲーム展開となりました。
それは栃木が長いボールと前からのプレスによって押し込むこととボール奪取を狙ってくるのに対して、新潟はそのプレスを剥がしながら運び出そうとするというものです。

入りの数分のうちから新潟のCBまでSHが寄せに来る栃木に対して、和輝は1つ飛ばしてSBへ中距離のフィードを蹴るシーンはよく見られました。
また、1分には史哉が一旦下げたところから一気に舞行龍が右へ展開するシーンがあり、6分頃には善朗が下がって田上からのボールを引き出すと、善朗に釣り出されたCB田代の空けたスペースにゴメスから矢村へスルーパスが通るなど、相手のプレスを引っくり返す意図の窺えるプレーはいくつかありました。
対する栃木も、中盤で拾ってからすぐに前線へフィードを送り、受けた明本がミドルというシーンや、同じく中盤でのセカンドボールを拾ったところから明本のポストプレーを経てエスクデロのミドルなど、新潟のテンポのいいポゼッションの後には必ずシンプルな形でシュートという反撃を見せていました。

いいリズムでの繋ぎがあってもなかなか恐さを出すまでには至らず、栃木もしっかり潰して拾う展開の中、恐らく15分頃だと思いますが、新潟の方は善朗と中島の位置を入れ替えていたように見えました。それまでも中島が中に入って善朗が右に抜け出そうとする動きがあったのですが、なかなかうまくいかず少しテコ入れを図ります。
すると18分には、ゴメスが最終ラインまで下りたところから縦パスを至恩に供給し、落としたボールを島田が繋いで善朗がドリブルからファールを受けてFKを得るシーンを作りました。
中央に移った中島がより高い位置で深さを取り、右に移った善朗が少し内側に入ることで、前線へプレスに行く相手のSHと至恩やボランチを見ないといけない相手のボランチのギャップを善朗はうまく取ることが出来ていました。
これで得たFK、中島が狙ったボールは枠を捉えることはできませんでしたが、確かこれがようやく打てた新潟のファーストシュートだったかと思います。

さらに21分には右からの島田のCKにマウロがヘッドというシーンがありましたが、ここもマウロからの縦パスを善朗が相手のボランチ脇に入って受けて見事なターンで突破したところから得たCKでした。

飲水タイム明け直後にあったビルドアップの際の横パスを奪われて攻め込まれたシーンは、まさに栃木が狙っている形を作られたシーンではありましたが、それでもそれ以降は再び新潟がいいテンポで動かしながら見せ場を作る時間帯ができていました。
26分には舞行龍からの楔のパスを受けようとした中島が潰されたものの、後ろにいた矢村が受けて、自らドリブルで仕掛けてシュートまで行きましたがDFブロックに遭います。
また34分には右サイドでカットされかけながらも何とか拾い直したところから中島が左へ展開。フリーで受けた至恩がドリブルでエリア内まで持ち込み、落としたボールを史哉がシュートを放ちますがここはGKに阻まれてしまいました。
ただ、良い縦パスやサイドを替えるプレーでシュートシーンを創出します。

そして41分に待望の先制点が生まれました。
右サイドでのビルドアップから中島が前線でボールをもらうと、右に流れていた矢村へ渡してクロスを上げますが逆に流れてしまいます。
しかし逆サイドで拾った史哉のクロスのこぼれを再び矢村が拾うと、善朗に繋いでオーバーラップしてきた田上へ。走りこんだ田上はダイレクトで低いクロス。このボールに滑り込んで合わせたのは中島!先制!

右から左からと、クロスこそドンピシャで合わせる形にはできませんでしたが厚みのあるいい攻撃からゴールを奪うことができました。
田上のクロスに関しては解説の梅山さんが仰っていたように「ここしかないというとこ」でしたし、中島の入るタイミングと合わせる技術は見事でした。
右から来たボール右足で合わせること自体簡単ではないですし、ニアに走りこんだ分ゴールが正面にある状態ではありませんでしたから足に正直に当たり過ぎれば枠を外れてしまいます。
それを恐らくアウトサイドで、触れるくらいの感じで絶妙にコースだけを変えて枠に収めてみせました。
中島、来年も一緒にがんばろうね。ね。

前半終了、1-0。
お互いが特長の出し合う展開の中で終盤に先手を奪えました。

後半

スタートから栃木は動きます。
エスクデロ→貴章。
試合前のメンバー発表の時には当然温かい拍手がありましたが、2戦連発中と波に乗っているベテランFWを田坂さんは満を持して投入してきました。

するとその交代が早速効力を発揮します。
47分、右サイドで明本がキープすると、落とされたボールを黒崎がクロス。手前側に飛んできたボールに対して反応した新潟の選手と入れ替わるように山本はトラップで前を向くとそのままシュート。これは和輝がナイスセーブでしのぎますが、こぼれ球を拾った貴章はフェイントでDFを外してからゴールに突き刺しました。同点。
どうしても昔からの印象があるせいかテクニカルなプレーには失礼ながら珍しいと思ってしまうのですが、考えてみればここ数年はそういったプレーも以前より増えていたんだよな、と思い出しました。
憎いくらいに落ち着いていたプレーはまさに点取り屋のそれのようでした。

そんなかつての仲間に食らったゴールを消化し切れぬ間にすぐやられます。
51分、和輝からのビルドアップで舞行龍が史哉に渡したボールを黒崎にカットされます。明本が貴章とのワンツーから右に出し、フリーで受けた山本の上げたクロスにファーサイドで森が合わせました。逆転。
パスミスやコントロールミスなんてのはよくあることです。サッカーというスポーツは手ほど器用には扱えない足によって行われるものですからそういうものだと思っています。
ただそれにしたってイージーすぎるパスのズレやトラップのブレが追いつかれてから見られていたのは気になるところでした。
しかしそれ以上に、逆転の直前にも山本にポスト直撃のシュートを放たれていたことも含めて、人数はいるけどほとんど圧力を掛けられず、栃木にストレスフリーでシュートまで持っていかれているように感じられたのは怒りや心配といった感情と同時に何だかいろんな意味で恐くも感じてしまいました。

59分、田上、中島、ゴメス→テセ、荻原、シルビを投入。
右SBに史哉が移り左SBに荻原。テセと矢村が2トップとなり、左SHに至恩、右にシルビの4-4-2という感じにします。
すると63分、マウロの縦パスをシルビが受けると、中央で至恩とパス交換を経て、テセへパス。テセはアウトサイドでフリックすると、上がって来ていた島田が受けて、後ろ向きから強引にシュートを放ちますがここはDFにブロックされます。
それでも一気に3人替えたことで流れを変える試みをし、ようやく1つシュートまでの形を作りました。

この島田のシュート後、CKの2次攻撃で荻原のクロスにテセヘッドというシーンがあり、71分にはスピードを活かして荻原が仕掛けてFKを取り、そこから至恩のシュートシーンも生まれます。
2CB+2ボランチで組み立て、2トップ+SHが中央で絡み、高い位置でSBが幅を取るという形で持ち出すシーンを作る中で、荻原が躍動してチャンスメークをしますがなかなかビッグチャンスまでには至りません。
貴章が入ってからは栃木の高い位置からの守備の強度や連携も前半よりよくなっていて、新潟はやはり思うように押し込むことができていませんでした。

75分には史哉→大本で右サイドも突破できる選手を投入します。
対して栃木はまず65分に山本→大島という交代で荻原とマッチアップする右SHのスタミナを確保します。
そして79分には西谷、溝渕→岩間、瀬川を投入。ボランチと左SBをそのまま入れ替える交代でしたが、ボール奪取に定評のある岩間や、より高さのある瀬川というリスクマネジメント色を強める交代をしてきました。
しかし、田坂さんも試合後のコメントで仰っていましたが、このあたりから栃木は「バタついてしまい」ます。
どうしても全体のラインが下がってしまい、84分には左に下りた至恩が中央の島田、そしてシルビと続けてワンツーで持ち出すプレーを見せ、86分には舞行龍も前に出てくるプレーを見せます。

すると89分でした。
舞行龍がドリブルで持ち出すと、間に入った至恩へ縦パス。
ワンタッチでバイタルに入った善朗へ渡すと、善朗は反転してラストパス。
矢村が抜け出してGKと1対1となりシュート。
ここは少しトラップ大きくなってしまい塩田にブロックされますが、こぼれ球をシルビがプッシュ!同点!
土壇場で見事な連携による崩しから中央をこじ開けて見せました。

アディッショナルタイムの5分は栃木も再びプレスの強度を強めてセットプレーからチャンスを作ったり、対して新潟も至恩が得意のカットインからシュートと、お互いに最後まで勝ち点3を狙って攻めましたが届かず。
試合終了、2-2。

賢くプレーする事

梅山さんも仰っていましたが、後半「理に適った」選手交代と策によって同点にもっていけたというのは、内容からしてもよく追いつけたと評価できるところでしょう。
しかし、そもそも前半に先制できた時点で同点にしなければいけないような展開にしてはいけなかったというのがより本質的かなとも思います。

前半はアルベルさんも「及第点をあげられるプレーだった」と仰っていた通り、縦パスから落として前向きな選手が裏を狙うとか、素早く寄せて食いついてくる相手を見て抜けたり飛ばしたりという、対栃木という点で頷けるプレーが随所に見られました。

ただこれは栃木側からすると、守備の際はトップ下的になって新潟のボランチを監視するはずのエスクデロが、前を向いた状態で新潟のCBが持っている時はいいのですが、新潟のSBに入った後や前線に楔が入った後のスライドやプレスバックが少し遅くなる傾向にあり、それによって新潟のボランチに配球されるケースがあったと言えるかと思います。
それが後半になり前線が貴章と明本に替わると、明本がしつこく新潟のボランチを監視し続け、また貴章もCBに対してコースを切りながら2度追いするなどの改善によってプレスが嵌ったように感じました。

ただ、エスクデロの守備における若干の遅れと途中から貴章が入ることでそれが補強されるという流れは、前節の長崎戦でも見られたことでしたから新潟としては十分に予期できるものだったと思います。
実際舞行龍も試合後に「シンプルに相手を裏返せればよかった」と話していましたが、アルベルさんも仰っていた「賢くプレーする」ということが残念ながら後半の立ち上がりはほとんど見られず、まんまとスコアを引っくり返されてしまったというのは何とも歯痒いというか、見ていても苦しく感じました。

見直すこと

ニイガタフットボールプレスのツイッターアカウントで大中さんがこんなことを呟かれていました。
https://twitter.com/niigatafootball/status/1334277406257938432

自分も現地で見ていた時はどうにも気持ちがささくれ立っていたのですが、帰宅して落ち着いて見直すとまたちょっと印象は変わりました。
自分の場合現地で見ている時はそんなに悪くないと思っていても、帰って冷静になって見直すとイマイチということは時々あるのですが、今回に関しては逆でした。
どうしても後半立ち上がりにやられた悪い印象が強く、またよりによって貴章にやられたのが思った以上に悔しくて、もしかするとそれ以降のうまくいかないところもなんとなくそれを引きずってしまっていたのかもと思い直した次第です。

もちろん、印象が変わったと言ってもやられ方やあの時間帯のプレー自体は全くもっていただけません。
それでも至恩や善朗は持ち味の技術を活かしてどうにかリズムに変化を付けようとするプレーが幾度も見られましたし、島田の配球、安定感は改めて存在感の大きさを感じました。

また、これはここ何試合かもそうですが、しばらくSBが内側に入ってSHが外に開くという形でやっていた中で、ここ最近はSHとSBのどちらが内側を取ってどちらが外側に出るかというのを、一方をベースにしてというよりは、状況を見ながらフレキシブルに適宜変化させながらプレーできているようにも感じます。
まあこれはそう見えるという印象で確信を持てているわけではないのですが、成長している部分、そして来季も見据えつつさらに高めようとしている部分なんかは、より意識して目を凝らしたいなという感じです、はい。

最後に

スタジアムから帰る時はちょうど月が綺麗に見えて、とっても明るく感じました。
実際に明るい日だったのかと言われたら、天体的な暦は分からないのでただの印象や思いこみなのかもしれませんが、今季残り4試合、疲労が限界というのは重々承知していますが、今宵の月のように輝くプレーと輝く白星が見たいなと思います。

“月”のように輝く白“星”って月なんだか星なんだかどっちだよって感じですね。
すんません、どうでもいいですね。
今節の振り返り、終わります。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。