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オレラグ

言ってしまえばボロボロ【戦評】第39節 松本山雅FC戦

2020年12月8日

こんにちは。

ここに来てこんな書きづらい試合……辛い……はぁ……。
いや、書きづらいって書いているのは好きでやっていることなのでじゃあ書かなきゃいいっていうだけの話ではあるんですけど、まあせっかくここまで今年もやって来たんですからもうやり切る所存です。
とにかく、今季の中でも三指には入るであろう残念な試合だったと言わざるを得ないでしょう。

そしてこういうゲームになると大体やる気云々の話がちらほら見られたりするんですが、仮に本当にやる気がなかったとするならば、それはむしろそういうチームに3点しか取れなかった松本に失礼な気が自分なんかはしてしまいます。つまりそんなことはないかなというか、そういうことじゃないかなというのが基本的な感覚です。
まあ画面越しで見ていた限りなので伝わり切らないことや感じ切れないことも多分にあるのでしょうけど。

とりあえず、いずれにしてもマズイ試合をしてしまったなということに変わりはないかと思います。とほほ…。

スタメン

メンバーを確認していきます。
当日の日報の予想に名前がなかった舞行龍はその予想通り欠場でした。
どうやらコンディション不良ということではあるようですが、大きなケガにも繋がりかねませんから、今回はお休みということのようです。
そしてそんな舞行龍不在という状況に伴い、アルベルさんも試合後に「守備を補強するため」という意図を仰っていましたが、マウロの左に田上、右に史哉という3CB(5バック)を敷いてきました。
前節はFWでスタメン出場した矢村を右のWBへ配置することでトップには2試合ぶりにテセを起用。そして至恩、中島というSHがシャドーを務める3-4-2-1という布陣を採用してきました。
守備の陣形としてスタートからハッキリ3バックというのは恐らく5節の町田戦以来だったかと思います。

対する松本の方はGKも含めて前節から7人の変更がありました。
GKの圍が16試合ぶり、インサイドハーフの一角に入った久保田は12試合ぶりと、この2人に関しては久しぶりの出場となりましたが、それ以外の5人(佐藤、高橋、鈴木、杉本、阪野)は全員2試合ぶりということで、大幅に入れ替えたとはいえ、戻したという表現でいい顔ぶれだったかなと思います。

前半

立ち上がりから松本の攻勢に遭います
4分、常田のフィードを阪野が落として杉本が右へ展開。受けた鈴木が縦に仕掛けて低いクロスがゴール前を通過しますが何とかクリア。
さらに直後のCKからの2次攻撃。高橋からのフィードのこぼれ球を拾った杉本がミドルを放つもわずかに枠を外れます。
その後も10分にはセルジーニョのFKから橋内にドンピシャで合わされますが和輝が正面で抑えました。
ただ、早い時間帯から連続してシュートシーンを作られる苦しい展開を強いられます。

10分頃になってようやく両サイドから運び出すようなポジティブなシーンを作ると、12分にはサイドチェンジから右サイドに起点を作り、至恩からの浮球に矢村が抜け出す惜しいチャンスも創出します。
そんな少しずつリズムがよくなっているかなと感じられていた矢先、先手を奪われます。

15分、松本の右サイドからのスローイン。
ポストプレーの阪野には田上がしっかり付いて自由を奪い、一旦はルーズボールとなってマウロがクリアしに行きますが、これがミスになってしまいます。小さくなったクリアを拾った久保田がマウロをかわして深くまでえぐってからクロス。走りこんだ高橋がヘッド。松本先制。

ミスも絡んで偶発的に与えてしまったピンチではありましたが、結果的に慣れないポジションでの起用となった矢村のところでフィニッシュされてしまいました。とはいえあそこまでえぐられてクロスを上げられた時点で矢村にできることは少なかったとは思うので、彼1人を責めるのは酷でしょうし、スローインサイドで何とかすべき事案ではあったでしょう。

ペースを掴みかけたところで失点してしまったことで、それ以降はまた苦しい展開が続きます。
結局飲水タイムの時点までで放ったシュートは、直前にあった中島のミドル1本に終わってしまいました。
それでも、飲水タイムに監督からの指示で田上と史哉の位置を入れ替えてからは少しずつ様相が変わってきます。

25分、中盤でのルーズボールを拾った善朗から左の史哉へパス。
史哉からの縦パスを少しコントロールミスしながらも至恩がいいターンでDFと入れ替わると、中島とのパス交換からシュート。
GKが弾いたところに中島が詰めますがDFのカバーに遭います。
そんないいチャンスを1つ作った直後に歓喜が訪れます。

左から善朗のCK。
中央のエリアに入った絶好のボールに田上が完全にDFの前へ入って合わせに行きますが、ここで後ろからシャツを引っ張られてファール。PKゲット。
密集の中で矢村とそのマーカーだった鈴木の間を潜るようにして自らのマーカーだった浦田を外し、テセが少し早くニアへ走り込むことで空けたスペースに入って行きました。お見事。
PK、1度決めながらも味方が先にエリアへ入ってしまったことで蹴り直しとなりましたが、そんなの何のその。2度目もテセは同じコースへしっかり沈めてくれました。同点!

前半の内に試合を振り出しに戻すことに成功し、また同点直後も丁寧に動かしたところから右サイドを矢村がえぐったり、至恩の突破からテセのシュートまでいったり見せ場を作りました。
しかし、終盤になるとまた悪い流れの雰囲気が濃くなってきます。

34分には右サイドから抜け出した久保田のクロスに高橋がヘッドという先制点と同じようなシーンを作られますがここは枠の外。37分にはショートカウンターで阪野に抜け出されるピンチを迎えましたがここは史哉のナイスカバーで事なきを得ます。
ただいずれの場面も自分達のミスが発端となっていて、守備についても前へ出て行けない印象はありました。

前半終了、1-1。
ちょっと打ち合いっぽくなっていることもあり、後半始まる前に解説の片山さんも「見応えのある攻撃が随所に見られた」「単純に楽しいなという感じを受けた前半でした」と仰ってくれていましたが、これはかなりポジティブに表現してくれている感じがして、正直お互いが締まらない内容だった印象は否めませんでした。

後半

新潟の方がスタートから選手を入れ替えます。
善朗、中島→荻原、大本を投入。3-4-2-1のシステムはそのままで、ゴメスをボランチに移して荻原が左WB。そして矢村をシャドーに移して大本が右WBに入りました。

後半の入りも最初に仕掛けたのは松本。
47分、阪野のポストプレーから久保田が繋いで右サイドを鈴木が突破。マイナスのパスに最後は杉本がシュートも和輝の正面。
さらにその直後にはビルドアップのところで杉本に奪われると、ドリブルからセルジーニョに当てて、最後は佐藤にシュートを打たれましたが枠を外れて救われました。

前半同様に苦しい立ち上がりになりましたが、それでも後半はすぐさま新潟も反撃を見せます。
49分、右サイドで矢村のポストプレーから大本が抜け出すと、エリア付近まで持ち込んでクロス。
こぼれ球を拾った至恩がドリブルでDFをかわしてシュートは残念ながらブロックに阻まれます。
さらに52分にも至恩からのサイドチェンジを右で大本が受けてアーリークロス。テセが体を張って至恩がそれを拾い、最後は荻原がシュートというチャンスを作りましたが、ここはGKにキャッチされてゴールとはなりませんでした。

サイドを起点にして、後半から入った2人も絡みながらのいいシーンを作ることができていたのですが、これもまた前半同様、いいペースになりかけていた矢先にやられます。
55分、松本が後ろで動かすところから、常田が鋭い縦パスを供給。
これを受けようと下がったセルジーニョがスルー。完全に裏へ抜け出した阪野はそのままゴールへ一直線。和輝との1対1はフワッと浮かしたシュートで綺麗に肩口を抜いてきました。2点目。
常田が蹴る瞬間にマウロは少しラインを上げていましたが、残念ながらオフサイドに引っかけることはできませんでした。

そしてさらに61分でした。
左サイドから一旦やり直して右まで展開されると、鈴木が深い位置まで侵入します。自らクロスを上げることはできませんでしたが、落としたボールを佐藤がダイレクトでクロス。ニアで久保田がヘッドは和輝のナイスセーブでしのぎますが、こぼれ球を阪野に詰められました。3点目。
松本としては押し込んだ状態から丁寧に動かして深くまで持ち込むことで、ゴール前に4,5人が入る厚みを出せていました。
またDFを含めてゴール前に人数が掛かる中で、クロスをダイレクトに上げたというのも効果的でした。

新潟としては、直前にも右サイドからのクロスに対してマウロが流してしまって高橋にフリーで打たれる大ピンチがあったように、この辺りからもう既に「新潟さんは途中から動きが止まったようなところがあったので」と試合後に柴田さんが仰っていたような感じがあり、為す術がないみたいな状況に陥っているように見えました。

67分に矢村→シルビを投入しますが、ビルドアップのところで相手の狙い通りに囲まれて奪われてしまったり、何でもない横パスがズレて失ったり、75分にあったセルジーニョのCKも常田にドンピシャで合わせられたりと、ちょっと厳しいものがありました。
松本の方は77分に久保田、杉本→田中、山本という攻撃的なタレントからバランスの取れるベテランを投入し手堅くリスクケアを施します。

79分に荻原が縦に仕掛けてクロスを上げたシーンは数少ない見せ場でしたが、85分に田上→秋山を投入し4-2-3-1へ変更しますが特段大きな変化を生む事はできませんでした。
松本は終盤セルジーニョ→ジャエルを投入し、そのジャエルがカウンターから決定機を作ると、アディッショナルタイムには高橋→今季高卒で加入した村越を初出場させる余裕の試合運びを見せました。

試合終了、3-1。

いいようにやられた後半

後半解説の片山さんがスペースが空いてきているということを仰っていたのですが、正直新潟の方は前半からそう感じられるシーンはあったように思います。

3CBを採用したのは最初に紹介したアルベルさんのコメント通り「守備を補強」する意味合いがあり、それは相手の2トップに対して3CBで常に数的優位を保つということでした。
ところが、2トップの一角であるセルジーニョは展望でも書いた通り下がったり開いたり縦横へ自由に動き、またその下にいる杉本や久保田は前線へ飛び出していくといった入れ替わる動きが随所に見られ、それに対して新潟はCBが相手のFWにどこまで付いて行くのかもそうですし、何より飛び出していく中盤の選手を警戒するが故にボランチがかなり後ろに吸収されてしまって、全体が後ろに重くなるという状況ができてしまったのかなと思います。

また、3CBで1人を余らせるということは違うどこかに相手も余る選手が生まれるわけですが、新潟の2ボランチに対して松本の3センターという部分で後手を踏んだ印象も否めませんでした。
1トップ2シャドーだったこの日の新潟において、シャドーの2人は基本的にまず中央を閉めてアンカーの佐藤を消してから相手の3CBへプレスを掛けるという狙いは窺えました。
ただ、そうやってプレッシャーを掛けても後ろの5バック+2ボランチが後ろに重くなってしまっているために、連動したプレスが掛からず、また中長距離のボールが出た後のセカンドボールに対してもコンパクトさが維持されていない分、松本の3センターに拾われるという流れがあったように感じました。

それでも前半はまだ松本も元々考えていたことであったり、ある程度セーフティーにやる意識もあったりしてか、遠回りするような攻撃をしてくれたおかげで失点は1つに止まりましたが、後半は松本も中央が空くということを認識してどんどんそこへ入れるようになり、また新潟の疲労も確実に溜まっていく中で、途中和輝の「ボール!行けよ!」という声があっても、行きたくても行けない、行ったらまた空いたところをやられるという感じで反応し切れず、結局松本にいいようにやられてしまったという後半だったのかなと思います。

状況を判断する余地

攻撃面、ビルドアップでも気になる部分がありました。
図にしてもらったのは39分、一旦やり直してマウロから和輝に戻り、さらに右の田上へ展開したというシーンです。

松本は2トップが寄せて、田上のところには中盤の杉本が寄せて全体で左へスライドしながら守っています。
そして田上にボールが渡ったところで、中央のマウロが呼び込み、島田とゴメスも手を上げてそこへ出せという合図をしていましたが、田上は矢村への縦パスを選択しました。

結果的にここは矢村がうまく相手をかわすことで抜け出せたのですが、2トップ+3センターという、元々幅が埋めづらく、横に動かされた時はどうしても大きくスライドしないといけない陣形の相手に対して、急いでいるというほどではないにしろ縦、縦という選択が多く、何度かやり直すというシーンが少なく感じました。

前節栃木戦を始め、ここ最近はアルベルさんが縦に入れろといった感じのジェスチャーや声をベンチサイドから送っているシーンも割と見られていたので、そういった意識があったのかなと推測はしました。
ただ松本のような陣形の相手であれば、何度か揺さぶってどちらかに寄せることでこのシーンのように逆がチャンスになりやすいというのは間違いありません。
もちろん、何度も揺さぶればその間に全体のラインを押し上げられてプレスを掛けられるというリスクもありますが、それを恐がるような今年のチームではないはずです。

いつもと違うシステム、メンバーの配置、そして疲労と諸々難しい事情はあるにせよ、もう少し状況を見て判断が出来る余地はあったんじゃないかなと感じられるビルドアップのシーンが何度かあったというのはもどかしいところでした。

最後に

疲労困憊でしんどく、とにかくきつい状況であることは、この試合の2日前の練習を急遽オフにしたということからも痛いくらい伝わります。
そんな中でこういう残念な試合をしてしまった時、どういう言葉をかけられたらいいものか分かりませんが、今季最後の丸1週間空くスケジュールでまずはコンディションをできるだけ回復してほしいなと思います。

来週もわくわくしながらビッグスワンへ向かう事に変わりはないのです。