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オレラグ

サマユニ品評会レポート2021

2021年8月22日

2021年、夏。ユニフォームを愛する男ふたり、はいえん(@highyen81)ニラサワ(@nirayuu_alb)が、勝手に品評会(オンライン)を開催!その模様をお送りします。

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ニラサワ(以下ニ):それでは始めていきましょう、オレラグ夏の特別企画「サマユニ品評会」です!
はいえん(以下は):よろしくお願いします。
ニ:Jリーグの各クラブから今季リリースされた限定ユニフォーム、通称サマーユニフォームの中から、お互い事前に選んだベスト3を品評しようじゃないかという企画です。
は:いいですね。その前に限定ユニフォームにおけるカラー戦略を考察してみたので最初にそれを見て頂きたいです。
ニ:おお。

は:僕が思うに限定ユニは3つのタイプに大別できます。クラブのメインカラーをそのまま使用したAタイプ。セカンドカラーを前面に打ち出したBタイプ。大胆にカラーチェンジしたCタイプ。
ニ:なるほど。
は:Aタイプはインパクトが小さい反面、夏以降も着回しできるメリットがある。逆にCタイプはうまくいけばクラブ外にも話題が及ぶくらい特大のインパクトを生む。その一方で違和感が強く滑る可能性もあるハイリスクハイリターン型。Bタイプは良く言えばいいとこ取り、悪く言うと無難な折衷案かな。
ニ:うんうん。
は:優劣があるわけではないけどタイプ分けして見ていくと面白いかと。ちなみにアルビも過去の限定ユニで3タイプ全部を出しているんだよね。

ニ:分かりやすくていいですね。でもこの画像なんで貴章、レオ、レオなんですか?(笑)
は:公式画像で他にちょうど良いのが無かったのよ(笑)
ニ:あと戦略でいうと限定ユニ専用でスポンサーのロゴを変えているクラブがあるのも面白いですよね。例えばツエーゲン金沢。すべてアルファベット表記に変えて統一感を持たせようとしている。うまくいっているかは別として、その試みが面白いですよね。

は:なるほど。
ニ:他にもブラウブリッツ秋田のTDKのロゴ自体を変えているのが面白い。トゲトゲになっています。

は:おー。期間限定だからスポンサーもロゴの色や形の変更には柔軟なんだろうね。そこを上手に活用しているクラブが増えてきたのが今年の傾向かな。

まずは第3位から

ニ:さっそくランキングの方、発表していきましょう。僕の第3位は徳島ヴォルティスです!

は:おー。はいはい、イオンウォーター。
ニ:これはまず色がそのまんまイオンウォーターなんですけど綺麗ですよね。この青は。
は:うん、ほんの少し緑が入っている。ターコイズブルーかな。
ニ:今までの徳島には無かった青なんですよね。色が胸のイオンウォーターのロゴと非常にマッチしている。2年くらい前のマンチェスターシティにも同じようなあしらいがあったんですけど、ボディ全体にヒビ割れのような模様があるんです。これよく見ると数字の1が隠されているんですよ。
は:お~よく見ているね。気がつかなかった。
ニ:全体的に統一感があって揃っていると気持ちいいですね。あと全身のバランス。全体が目に入った時に全部水色が飛び込んでくる。サマユニは上半身だけ変えるクラブもあるんですけど、パンツも色を揃えてあるところが良いですね。

は:たしかにここまで全体に色の統一を図っているのは少ないね。
ニ:いや~早く見てみたいですね。

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は:僕の3位はジュビロ磐田です。ガラッと変えたCタイプ。サックスブルーから深みのある藍色に変えてきましたね。

ニ:日本の伝統色ですね。
は:そうそう。ボディは麻の葉紋様。そこにトンボ(※ベッコウトンボという磐田市のシンボル)を配して和を取り入れたデザイン。全体の雰囲気にも落ち着きがあって良い。スポンサーロゴもホワイトで統一されていてボディの色とマッチして重厚感がありますね。
ニ:夏って感じありますね。
は:某アニメの影響もあって日本の伝統色と和柄が今にわかに脚光を浴びているんだよね。ちなみに図らずもお隣の清水エスパルスもサマユニに和柄を取り入れています。

ニ:お~気が付かなかった!胸のところが格子柄になっていますね。
は:これ花火がモチーフになっているんだよね。清水の「みなと祭り」というローカルなお祭りにスポットを当てたものらしい。有形のオブジェクトや無形の文化だったり、こういった土着的ともいえるローカリズムを全面に押し出すのはサマユニの面白いところだよね。
ニ:そういうところでいうと岐阜もそれにあたりますね。お城を全面に出してくるデザインはありそうでなかった。

は:岐阜もカッコイイよね。ただ2年くらい前からボディはブラック、スポンサーロゴはゴールドで統一というサマユニが結構増えたせいか、インパクトは薄れているかな。
ニ:トレンドとしてはちょっと過ぎてしまったかなという感はありますね。
は:あとゴールドは高級感があって恰好いいけどナイトゲーム時の視認性には少し不安を残すよね。
ニ:あぁたしかに。でも背番号と名前の視認性は今年から採用された統一フォント『J.LEAGUE KICK』で幾分カバーされたかもしれませんね。

続いて第2位は

ニ:さあ、次いきますよ。僕の第2位は東京ヴェルディです。

は:これはやられた!
ニ:そもそもあまりヴェルディは縦縞のイメージって無かったんですよ。
は:ストライプは初採用かもしれないね。
ニ:大きな幅のストライプで縞の緑の変え方が綺麗です。そしてヴェルディは何といってもゴールドの使い方が上手なんですよ。
は:そうね、差し色程度に入っている淡いゴールドが上品だね。
ニ:袖口と首とストライプのふちの部分に効果的に使われていますね。そしてこの明るい緑は20本の線で構成されていて、これで東京移転20周年を表現しているそうです。
は:なるほど。しかしこれ色が良いね。エメラルドグリーンかな。青がかった緑。青と緑の両方の印象を与える中間色かな。
ニ:背面のJ.LEAGUE KICKとの相性も抜群で調和しています。やっぱりセンスいいですヴェルディは。全身で見るとちょっと相模原感がありますけど。それでもこの洗練された質感はヴェルディだなって思いますね。

は:うんうん。これ僕の提唱するカテゴリーでいうとAタイプかな。メインカラータイプ。
ニ:そうですね、メインカラーのデザイン違い。ロゴカラーも統一されフォントもシックな感じでどこか欧風な雰囲気を漂わせていますね。
は:これはお見事。なんなら通年ユニフォームでも良かったんじゃないかってくらい。
ニ:その通りですね、それくらい綺麗な出来だと思います。でもこの時期にこれを出すということは、来季の通年ユニのデザインもこれを上回る自信があるということなのでしょう。
は:くどいけど惹かれる色だねこれ、パっと見た時に何色って言えない色は魅惑的だよね。
ニ:そうですよね、一言で何色って言えない色は印象に残るんですよ。でも使い方によってはどっちつかずの印象になってしまうので扱いが難しい。ですがこれは上手くマッチさせていると思います。

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は:僕の2位はヴァンフォーレ甲府です。

ニ:これは!(笑)
は:可愛いのよ(笑) ヴァンくん15周年の15(ワンコ)から来ているらしいのよ。
ニ:なるほど!(笑) だから背番号も15番なんだ。ヴァンくんって実は甲斐犬(かいけん)という犬種の犬なんですよね。狼ではない。
は:そうそう。そして全体のデザインはワンコの目線に沿って配されたボーダー柄が前進するスピード感や躍動感を見事に表現している。色も黒とゴールドのボーダーは今まで無かったと思う。虎を想起させるようなデザインで力強さを感じるね。
ニ:たしかにサマユニでボディが黒、ロゴがゴールドの組み合わせは多いですけどボディにゴールドをもってくるのは無かったかもしれませんね。しかも単調なボーダーではなくて真ん中で区切ってグラデーションさせていますね。
は:ゴールドも派手なゴールドではなく暖かみのあるゴールドで目に優しいよね。さらによく見ると背面には甲斐犬のしっぽもついているという遊び心もある。GKユニは武田信玄の赤備えでしょう。カッコイイ。
ニ:なるほど。
は:僕はデザインを観察するときに何を表現したいのかまず考えるんですよ。これは絶対に最初にワンコありきのデザインだと思います。コンセプトを表現出来ている逸品ですね。
ニ:夏の夜に映えそうなデザインですね。
は:可愛いとカッコイイを両立しているので2位です。

栄えある第1位は…

ニ:最後の第1位は、セレッソ大阪です!

は:おお~!
ニ:まず全体の完成度が非常に高いですよね。そしてサマユニといえば金文字という安直なチョイスはせず、ロゴをクラブカラーのピンクに統一している点が大きいです。
は:そう!それそれ。ロゴカラー統一するのは素晴らしいけど金色もしくは黒がサマユニのステレオタイプなのよね。クラブカラーにすることで一気に安心感が芽生えるね。
ニ:ロゴが黒か金だとどこのクラブ?ってなるけどピンクだと「あ、セレッソだ」って落ち着くんですよ。その使い方が上手なんですよ。ボディの模様も幾何学模様に見えて実は桜の花びらだったりして非常にマッチしています。
は:そうね、迷彩の様にも見えるけど実は桜の花びらだから、どことなく和のテイストも感じるね。統一感もあり全体的な収まりが良い。
ニ:そしてもう一つのこだわりが、J.LEAGUE KICKに酷似したフォントを用意している点です。うちの神ユニも同じようなサービスをやっていますけど、よく見るとJリーグロゴが入っていない非公式版なんですよね。J.LEAGUE KICKはカラーが少ないのでピンクを自作することでカラー統一を図っています。素晴らしい。
は:細部に至るこだわりを感じられますね。
ニ:惜しまれるのは選手が着ている宣材写真のフォントは白なんですよ。間に合わせて欲しかった……。もったいない。
は:分かるなぁ。
ニ:来年からはJ.LEAGUE KICKも色数は増やすでしょうね。今年はまだ試験的なのか、さすがに色数が少なすぎた。
は:このユニフォームを見ると改めて色数を絞るということがいかに重要か分かるよね。ざっくり2色に絞ってあることで脳が混乱しない。ストレスなく目に入ってきやすい。
ニ:ここまで色を統一出来るのもサマユニならではの醍醐味ですね。

***

は:僕の第1位は栃木SC。これはもう参りました!

ニ:おお〜、いいですね。
は:まず僕が最初に提唱した3つのタイプがあるでしょう。これ3タイプ全てを網羅しているんですよ。パっと見で色を変えてきた印象のCタイプ。でもそこまで違和感が無いのはネイビー、ブルー系なんですよねこの色。栃木SCはブルーがセカンドカラーなんですよ。
ニ:あ、本当ですね。通年ユニのアウェイはパンツがブルーだ。だからセカンドカラーのような印象もあるわけですね。でも完全なブルーではなくて少し緑がかかっているかな。

は:そうそう。調べたらこれセルリアンブルーという青と緑の中間色なんだよね。だからセカンドカラーのBでもありCでもある。そしてスポンサーロゴはクラブカラーの黄色に統一することでAタイプの要素もある。違和感を逃がす効果があるというべきか。
ニ:色がいいですね。この何ともいえない中間色が。完全な青系に黄色いフォントを合わせるとコントラストが激しくなるんですよ。少し緑系にふることで目に優しくなっている。

は:そうそう、そしてデザインのテーマが素晴らしい。ストーミングというチーム戦術をコンセプトにした「夏の夜に雷鳴を轟かせる嵐」だったかな。見事にテーマを体現したデザインです。さらにボディに施された幾何学的な模様で雷を表現している。いわゆるありきたりな雷柄ではなくサイケデリックな形で表現された雷がカッコイイ。
ニ:いいですねぇ。なんだかラピュタの内部にありそうな模様です(笑)
は:たしかに(笑) そして宣材写真が良い。若い男女を起用してこれぞまさにSTADIUM TO STREETといった感じ。
ニ:なるほど、そこの見せ方の上手さも含めての1位なんですね。

おわりに

ニ:今回紹介した以外にも個性豊かなサマユニがあるのでぜひチェックしてもらいたいですね。
は:果たしてアルビからも昨年のメモリアルブルーのような限定ユニはまた出るのでしょうか。
ニ:出て欲しいですねぇ!楽しみに待ちましょう。